・先月、日経一面特集「世界この先」において、企業の社会貢献の場をピックアップして“肩ひじの張らない参画は「隗(かい)より始めよ」”との見出しがありました。
従来から、ビジネスの研修やトップ層がよく引用した故事であり、少し懐かしさもあって取り上げてみました。
・この由来は中国の「十八史略」にある紀元前戦国時代の燕(えん)の宰相郭隗(かくかい)が王に対し「国力回復のためには立派な人材を招くことが不可欠であります。
それにはまず私を優遇することから始めて、私でさえ優遇してくれる国ならば私より優れた人が集まってきます。」と説き、その通りになりました。
そこから、「まず隗より始めよ」の故事となりました。
・現在では、物事を始める時、自分の考えどおりの行動を部下に求めるのであれば、まず自ら率先し着手しなさいの意で用いられることが多いようです。
しかし、この引用は更に転じて、次の3つの場面に出現するようになったと思います。
1 リーダーとしての率先垂範
・上司は難しい課題、局面の対策を決断した場合、それを部下に“後は任すから”と責任を押し付けていては、よい成果は得られません。
・とりわけ、第一線の成熟していない部下には率先垂範して部下と一緒に愚直に行動しなければ、誰も付いてきません。
これでは人を育てることも放棄したに等しく、仕事の面白さや安心感、一体感いわゆるヤル気の持続ができません。
2 OJTの活動基本
・仕事を教わり、覚えていくのには実践(On the Job)を通しての方法に勝るものがないことは論を待ちません。
・リーダー自らよく理解、内容を身につけた上で、まさに山本五十六の言葉である
「やってみて、教えて、させて、ほめる」を実行することがOJTの基本を表しています。
わかり易く、行動を伴わないと、部下はマネできないのです。
3 向上への自発的行動
・個々人が自分のことと受け止めて、ちょっとした工夫、挑戦することが何より大事です。
誰かがやってくれるだろうでは、誰もやってくれません。
気づいたことや疑問に思うことはまず手を付けることです。
何事によらず、手近なものから始めることです。
・実行しなくて悔やむよりは、やってみて反省やミスを正していく積み重ねが自分のノウハウになり、結果より上のステップに行くことや仕事の拡がりになります。
(われわれは1.として用いていましたが、日経記事はこの3.の意を強調しています。)
以 上