「おじさん図鑑」

 「おじさん図鑑」なるイラストとその解説を中心とした本があり、これ
  を取上げたコラムがありました。
 我々が大いに興味を引くテーマであり、その本を早速読む(見る)と共
  に、少しまとめてみました。
(1)“一般人の図鑑”ブーム
  子供向けの図鑑ブームは続いているようですが、今年になって大人
   に売れ始めているのが特定の分野の一般人を集めた“一般人図
   鑑”
があります。(他に「美坊主図鑑」「文学少女図鑑」など)
  サブカルチャー系といわれる書籍は3万部売りがヒットと云われて
   いるが、「おじさん図鑑」は既に12万部近く発売されています。
  女性の著者は学生のころから、そこいらのおじさんの持つ独特な
   存在感(女性だから余計大人を感じていたのでしょう)に引かれ、おじ
   さんをモチーフとした作品を撮り、描き続けていました。
  そして、5年をかけて撮影したデータをイラスト化して図鑑と同じよう
   に分類、出版に至ったというわけです。
   今では、20〜50歳代以上まで万遍なく売れているそうです。
  身近な人(含父親)との共通点を発見して、ネタとして盛り上がる
   イート
の中で扱われており、おじさんの方も嫌われるようにみえて、
   実はよく観察されていてほどよく愛されていることを発見したとの意
   見もあると云っています。
  このビジュアル中心の図鑑方式はすぐ理解出来て感想が出やすく、
   ツイッター向きなのかもしれません。
  ヒットの理由の大元は、日本人の図鑑好きが時代を超えて多いと
   いうことかもしれませんが、次のように云っています。
   細部を拡大して分類することで、新たなあるいはやっぱりの発見が
     あり、一つひとつの個性が浮き出てきます。こうすることにより、
     案外愛きょうのある存在が伝わってくるのです。
   データが具体的で細かいイラストは写真を基に描いており、実録
     であることが強調されています。そうすると、人となりがよく分かり、
     楽しく見ることができます。
   分類整理は同じ様な条件での比較ができて、見る読む側が俯瞰
     的な立場になり、この比較しやすさが面白さを生んでいきます。
  近年、メディアがよく取上げるポピュリズム的な街頭行動等は、まさに
   “一般人”の集まりの特徴を持っており、そこにも一般人の時代を感じ
   ています。
(2)「おじさん図鑑」から
  おじさんを単なる過去の遺物、シーラカンスのように捉えている人が
   いるかもしれませんが、その言動は何といっても長年社会を渡り歩い
   てきた実績があります。
  スタイルでの良し悪しはいろいろあるとしても、人それぞれの個性の
   か
たまりなのです。
   イラストでないと特徴がはっきりしませんし、イラストに描きやすい
   のがおじさんなのかもしれません。
  年齢は本中記事から50〜60歳代以上までのようですが、特に限定
   は
なく服装、持ち物、全体のスタイルなどから、いわゆる“おじさ
   ん”と呼べるような人となりの捉え方です。
  そうなると、サラリーマンスタイルは対象外に近く、数ページしか割
   いていません。
  第一印象的な色分けといってよいかもしれませんが、概ね外観、仕
   事、服装、髪型、持ち物、動作等あらゆる面から分類して、どこか見
   たことのあるようなそして、“なるほど”と思わせるところが面白い
   のです。
  このような生態観察での区分けの基本は、いろんな場所に出没する
   “普通のいいおじさん”なのです。
  60ほどの分類をしているので、その特徴をとても書ききれませんが、
   その中からよく観察しているなと思う3つを取上げてみました。
  なお、著者が一つひとつに次のおじさん度総合評価をしている
   のも面白いなと思いました。ちなみに、最高点は“酔っ払いのおじ
   さん”
でした。
       1.インパクト  2.お茶目  3.色気  4.哀愁  5.渋み
 制服のおじさん
   警備員系…いかにも縁の下の力持ちの雰囲気がある。地域密着
    型の駐輪取り締まりなどは和やかで緊張感はあまり感じない。
   技術職系…作業衣がトレードマークで渋み度高い。テキパキと働
    いていそうで、格好良くみえる。
 休日暇そう、たそがれるおじさん
   奥さんの買物待機などヤレヤレの感強い。
   手を後ろに組んでショーウインドウなどを眺めている姿は、いか
    にもおじさんらしくのんびりしている。
   帽子は野球帽人気だが、初老になるとハットになるようだ。
 ラフなおじさん
   短パン型…革靴であったり、シャツをズボンの中に入れたり、靴
    下は普通の長めであるなど独特の格好のおじさんが目立つ。
    これもラフ過ぎると、ちょっと蛭子さん風になる。
   ズボンの位置型…折角のラフもズボンがハイウエストになり、胸、
    腰、お尻のラインが一直線になっている。それが自分の安心感に
    つながっているのかも。
    ポッコリお腹はどうしてもそのポッコリの下にベルトをしていて、タ
    ヌキタイプ。
  他に、アート系、スポーティ、リュックタイプ、カメラ好き、夫婦でいる
   人、基本のシャツ・帽子など理屈っぽい区分けではなく、思いのま
   ま
のおじさんの集合体のようです。
  従って、分類されているおじさん達はそれぞれであり、共通点を無
   理に押し付けているわけではありません。
 いずれにしても、イラストを見て感じるのが全てのように思いました。
  いくら文字で伝えてもサッパリであり、テーマの面白さは本を見ても
  らうしかないようです。今更ですが、すみません。