怒らないマネジメント2

 前回と重なる部分があると思いますが、ちょっと云いたりなかった
  ことを書いてみました。
 さて、常時怒っている印象を受けるようなマネジメントは、部下が本気
  で付いてくることにはならないでしょう。しかし、時には、怒る必要があ
  る場合、キチンと怒らないとナメられてしまうことも確かです。
 業績上向きの時は、緊張感を維持して成果を上げていくためには適
  切な場合もありました。ところが、現況の厳しい環境下にあっては、怒
  りはただエスカレートするばかりで、個人の感情が強く出て冷静な判
  断も出来なくなります。
 そうなると、上司に対し周りから声を掛けない、情報を伝えない、共有
  できない、チャンスがあっても云わないなど負のスパイラルになりま
  す。実感として、怒りによって「得」をした気持にならないでしょう。
 怒りはパワハラと結びつき易く、今時通用しない、流行らないと云って
  もよいのです。それは、次の手で納得させられることが出来ていない
  結果なのかもしれません。
 部下も、こうすれば怒られないと対策を立てている(=世渡り)ものな
  のです。また、こんなやり方を自分はしたくないと反面教師とする人
  がでてくることは、与えられた仕事以上のことは避けます。
 ただ、怒られるのがイヤでのゴマカシは、ダメです。怒った後で反省
  するような仕草をする上司であれば、事実を基に話をしていくと、怒り
  は少し収まると思います。
 フリーアナウンサーがコラムで“コミュニケーション術”を連載してい
  て、いつもその記事に感心しているのですが、そこに「ダメ出しのやり
  方の3つの基本」というのがありました。
 それが、この「怒り」に共通している点を強く感じました。解決法と云う
  より、「心掛け」と云ってもよい内容です。
  1. 穏やかに
   “よく頑張ってくれたなぁ”などの一言は欲しいものです。怒りは部
    下のメンツをつぶしていることがよくあります。
  2. 企画と提出者を分けて考える
   企画のやり方、対応の仕方などが悪いのであって、仕事と外れ
    た個人の性格、人格まで追求してはならないのです。
   目標未達の場合、原因は商品そのものに魅力がなかったのか、
    それとも営業の仕方が下手だったのかの分析が欠かせないのと
    同様です。
  3. ともに解決を模索する
   “どこをどうしたらよいのか、もう一度考えろ!”と云いながら、何を
    云っても否定が先では上司失格です。
   また、悪いところをほじくり出すような発言は、ストレス発散のため
    だけになってしまいがちです。
 いずれも、モチベーションを下げない方法なのです。怒りの後でもよ
  いからこれを参考に、少しでもフォローできればと思ってしまいます。
 そうなると、「怒り」を押さえて、良い方向に持っていく「おおもと」は、
  次にあるような気がします。
  1. 変えられない事実(過去)に怒っても、解決に向かえないのです。
    怒っても仕方がないと思い、今後どうするかを共にに考えていく
    姿勢が仕事を前向きにします。
  2. 人も変えられないのです。別の人に振ることは出来るかもしれ
    ませんが、その人は存在するのです。だからこそ、イライラをコン
    トロールする必要性がそこにあるのです。
    その人をうまく働かせるのは、自分なのです。
 ところで、前回のコラムの中に「怒らないようにするための体質改
  善」
を著者の経験から、次のやり方が効果的だったと云っています。
  1. いやだけれども、自分の怒りやすい状況を知っておく。
   記録をつけます(日記、手帳など)。
    このことによって、自分がどういう状況の時に怒りやすくなるのか
    を客観的にみることができて、怒らない選択枝があることが解り、
    怒ることが次第に少なくなります。
  2. 部下への指示に必ず、期限を入れるようにします。(すぐ、出来
    るだけ早くなどはダメ)
   そして、自分がこのように怒られたらどうだろうか、部下の良いと
    ころも思いだすといったことが、怒りにつながる面を少なくするの
    ではと云っています。
  3. 最後に、「怒らない」と決めることとしています。
 このようなことが出来れば苦労しないのですが、我々凡人は怒らな
  い技術を身に付けることは至難の技と云えます。
 せめて、「怒りで人は動かない」を肝に銘じて、頑張ることです。
  仕事は誰かがやってくれるわけではないので、どうしたら皆んなの
  ヤル気につながるのかを仕事の場で経験していくしかないのかも
  しれませんね。