経営計画1

 会社の「経営計画」会社の柱となるものであり、社内皆んなが知
  見できるようになっているのが普通です。
 しかし、その中味については具体的に自分達の仕事に関わることが
  ないため、幹部層、策定部署以外それほど興味を持たないのかな
  と思っています。
 ところが、マネジメント本、雑誌において経営計画の大事さ、策定方法
  などいろんな場面で取上げています。確かに、少し位知っておかない
  とマズイのかなとも感じます。
 大事さは分かるが、やっぱりピンとこない、しかも難しい内容になっ
  ていてどうなんだろうで終わってしまいます。
 それでも、小さな会社向けにQ&Aによって分かりやすい解説をして
  いる「はじめての経営計画」という本がありました。内容が多岐に亘
  っているので、その中から序説と云える部分と現場が関与する「予算」
  に絞って引っ張ってみました。
 さて、「経営計画」は通常現場からの見込み数値や生産能力からく
  る状況、課題などを組み立てて、決められた書式に基づき策定部署
  に上げていくことから始まります。
 それを基に経営環境変化の先取り、対応や新たな商品、サービスを
  十分検討したうえ方向性を示し、経営戦略として組み込み中期計画
  (3年位)にまとめるのです。
 すなわち、会社が計画目標を達成してどのような姿になっていくのか
  を表したものです。そこをクリアーしなければ、期待していた競争力の
  ある会社にならないということです。
 だから、経営計画策定は会社の成長、発展の元になるもの=将来図
  であり、全体の経営のあり方まで含んでいる大事な作業なのです。
  やっぱり、大枠位は理解しておく必要性を感じるのです。
(1)経営計画とはなにか
 1.経営計画とは
   一言で云うと、“いき当りばったりのやり方ではなく、方法や手順
    を考えて事業を遂行していくこと”です。
   だから、計画に照らしての実行管理がなくては意味がないのです。
    希望的な数値や考え方ではないのです。計画倒れにならないこと
    です。
   勿論、実行状況が計画未達の場合は、フィードバックをして、どうし
    たらその差を埋められるのかのチェックと具体的な挑戦が大変で
    も求められるのです。単に、計画と実績を比較するだけではダメな
    のです。
 2.必要性
   初めての旅行ではガイドブックを買って調べたり、情報を手に入れ、
    スケジュールを組み、ホテルなどの手配をして充実した旅とするよ
    うにします。
   同様、不確実な将来に対し、仮説を立て(日本人はここが苦手と云
    われています)、そのうえで実際に取り組んでいく課題を効果的に、
    効率的に達成することで、所期の目標がクリアーできるのです。
   ある I T企業のトップが“部下に自由に任せることが、発展の根本”
    と云う人がいました。マネのできない技術を持ち、右肩上がりの成
    長途中だとそれでよいのかもしれませんが、競争の激しい中での
    “放任”は良くない結果が出てからの対策となり、間に合いません。
   計画との比較によるプロセス管理が必要なのです。それがないと、
    日常の仕事以外の課題となる仕事に着手しなくなるのが普通でし
    ょう。
   だからこそ、経営計画は現場がやるべきことを決め、具体的な手
    順を示していくことが重要なのです。
(2)計画倒れにしない
 1.スローガン?
   ただただトップダウンの計画になっていませんか。例えば、活動
    を想定しえない数値計画だけとか、現実を無視したあるべき論とか、
    機械的な前年比〇〇%アップなどです。
   実行管理のない計画も、現場は他人事と受け止めます。権限、責
    任を伴わないと活動そのものがイメージできず、結局計画倒れ
    なります。チェックがなくては、次のアクションにつながりません。
 2.前年死守
   デフレが続く状況では“前年死守”のパターンがみられます。これは
    いろんなことに対し“思考不足”と云わざるを得ません。何をどうして
    いくのかなどの根拠と納得性にあまりにも欠けます。
   とはいえ、現状維持に必死な場合も十分あると思います。しかし、将
    来に向けて社員が進んでいけるものがなくてよいのでしょうか。
   計画策定には、まず極端な夢ではなく、現実味のあるありたい姿を
    掲げます。次に、現実の数値を積み上げて考えます。そこから目標
    との不足ギャップが出たら、それをどのように埋める化を考えていく
    のです。
   そこの数字は頑張ってこそ達成できるものでなくてはなりません。
    実行して直ぐに計画達成不可がみえてはダメです。
   売上未達を埋める作業に例えると、既存得意先、顧客への増販方
    法や新規得意先獲得、新商品サービスの導入、周辺事業への拡大
    等が計画の中にしっかりと折り込まれて売上目標が具体化していく
    のです。
(3)作業手順
  それなりの経営計画策定と実行管理には、多くのステップが必要です。
   とはいえ、そこまではというのが実感としてあります。
   我々が目標管理で耳にする「PDCA」の会社版と考えれば、何とかで
   きそうな気がしませんか。
  とりあえず、おおよそのフレーズとステップを示しておきます。ムリをす
   ることはないのですが、が通っていなくてはなりません。
 1.事業構想
   中期的な経営の目標となる数字と実現状況の姿。(5〜7年程度で
    考え、実際に表していくのは3年先位)
   経営環境や会社の強み弱みを洗い出し、経営戦略の基礎となるよう
    な分析
   市場をターゲット毎に明確にして、普段考えていたことの整理も含め
    て、以上のことを基本戦略に組み立てるのです。こうすると、いかにも
    経営計画らしくなります。
 2.実行計画
   具体的な行動計画、数値がなければ、絵に描いた餅になります。そ
    れには、今年度の計画として課題を含めて示さなければなりません。
   その各部門への数字として達成すべきものが、毎年の予算となりま
    す。通常、月次まで落されていると思います。
   予算は現場まで行き渡っており、現場は何をしていくのかの方向、考
    え方を持ち自分達の目標として取り組むのです。
   予算達成=計画達成なのです。予算数値に向け部署の活動が日々
    行なわれるのです。そう考えると、計画は余計な仕事ではないのです。
 3.実行管理(月次サイクルとしてある)
   基本は月次締め切りがあって、その資料をベースに今後の方針、活
    動を討議します。
   現場は予算と実績の差(不足)に対し、WHY(何故そうなるのか)と
    BECAUSE(なぜなら、〇〇を予定していたが取り組めなかった)の
    繰り返しを職場の会議等で検討するはずです。
   すなわち、実行管理としての仕組みが日程(会議、ミーティング等)
    にあり、誰が何をするかを決めていっています。ここをしっかりコント
    ロールしていないと、これまでの計画策定等の努力が水の泡となりか
    ねません。
 なかなか簡明に記せませんでした。全体として経営計画は単なる改善や
  効率化など現状から発したものだけでなく、将来のあるべき姿からの
  発想が大事だと思います。
 いずれにしても、現場に基礎資料を求める必要があるので、できるだけ現
  場が余計な仕事と思わないよう理解に努め、作り易い工夫(図表等)もす
  る必要があります。
 次回は、現場に直接関連する「予算」にふれてみたいと思います。