老後に欠かせない国の年金2

 国の年金への不信、不安に対して、前回の続きです。
 年金については、多くの誤解や旧社会保険庁の失策の連続も相俟
  って、我々に大きな不信を植えつけました。
 しかし、以下に記した程度で分かるレベルにないことは承知していま
  すが、少しでも素直な目で年金を考えるキッカケになればと思って
  います。
(2)国の年金は破綻するのか
 1.国の財政
   メディアによっては破たんするのではと論じているところもあって、
    注目度は高いと思います。個々人の金融資産(貯金)の調査
    も老後の不安が強く出てきています。
   一方、年金の破たんはない意見は、表に出てきていませんね。こ
    のコラム著者は国の財政そのものが年金制度を破綻させること
    により、楽になることはないからと云っています。
   例えば、生活保護は全て税金で賄われています。年金は掛け金
    と税金で運営されています。
   年金受給者が既に3,000万人に達している現状にあって、破綻
    はその中から多くの生活保護が発生することになり、とてもそちら
    にカジ取りができないのです。
    現役世代にも掛け金のかわりに、所得増税が待ち受けることにな
    ります。
   年金積立金100兆円あります。これほど大きく貯めている国
    はほとんどありません。従って、団塊世代が年金生活者となって
    もバッファーが生じて、年金改正が遅れてもなんとかヤリクリ
    可能と云っています。
 2.制度改正
   確かに、公的年金制度には問題課題が多いことは間違いな
    いところです。しかし、過去数十年に亘って見直しや改正が続け
    られ、破綻の途をを乗り越えてきました。
   それは加入者にとってほとんどマイナス面ばかりですが、なん
    とかしなやかに対応してきていると云っています。今後も改正の
    批判はあるでしょうが、生き残るためにやむを得ないと解するの
    が適当かと思います。
   65歳→70歳支給開始の話題についても、誰もが反対する中
    身です。ただ、よくよく考えると、年金支給期間が5年短縮される
    ので、財政は大分楽になります。
   とはいえ、65歳雇用を企業は必死で対応しようとしている現在、
    70歳はとても年金だけの問題ではなくなりますが。
   すなわち、何らかのセフティネット雇用形態を延長する仕組
    みがセットになることが必須なのです。
   年金額も減少する方向でしょうが、痛みがあまり大きくてはとて
    も承服できません。いずれにしても、“がやることは、ろくなこと
    はない”と一喝終わるのではなく、やはり我々が確かな目で
    監視するしかないのです。
   そして、国に頼れるところは頼り、頼れないところは自分
    備える2本立ての目線が必要なのです。
   老後の基礎的な出費(食費や日用品、電気ガス代など)は国の
    年金額になんとか押さえて、交際費や趣味などについては自分
    で確保する覚悟がいるのかもしれません。
    もう老後を100%国に頼ることは、幻想と思うべきなのでしょう。
   まずは、一度「ねんきん定期便」を持参して、近くの日本年金機
    構に説明を受けに行くことをお薦めします。
(3)どれ位もらえるのか、不安
  破たんまで心配するとキリがないと思いますが、実際どれ位もらえ
   るのかの不安は付きまといます。メディアではニュース性が薄い
   のか、指摘することはほとんどありません。
 1.モデル水準
   ところが、一般論で云いますと、現在素晴らしい水準にあるのです。
    サラリーマン夫専業主婦妻「モデル世帯」で考えてみます。
   月額約23万円(年間276万円)と出ました。(勿論、現役給与
    額、勤務年数により上下しますが)
    大卒初任給より高いことを認識してください。
   平均寿命男子84歳、女子89歳として中間取りの65歳から22
    
年間を計算すると、なんと合計約6,000万円なのです。
    この平均的なセカンドライフで、すごい総額になっているのです。
    仮に、今より15%水準が下がっても、5,000万円弱です。
 2.終身給付
   もう1つの国の年金の“強み”は「終身給付」の仕組みです。民
    間の年金保険などは10年間などの有期年金というものです。
   死ぬまでもらえることは、生活安定に大きく寄与しているのです。
    長生きすると当然、それだけお金が必要ですから。
    国の年金は長生きの経済的リスクに対する備えである「終身
    年金」であることが、すごいと云えます。
   損得論は平均概念が入ってきますが、残念ながらお亡くなりにな
    るとそれ以降の生活費がかからないのであまり意味はありません。
 3.蓄えができますか
   仮に国民年金しかもらえない人であっても、先ほどのモデル
    は1人約1,600万円(2人だと3,200万円)になるのです。
   やっぱり、これを手放す未納者になるとどうなるかは、歴然として
    います。思った以上に年金は、大きな財産なのです。
   月額にすると6.5万円しか支給されませんので、これだけでの生
    活は無理と云えます。あくまで生活の基本の基本部分の備え
    あるという心構えも必要なのです。
   いろいろ云われますが、こんな積立金現役時代別途定期
    的に貯金できますか。これを強く云いたいのです。
   強制力が働いての支払いや天引きがあるので若い時から継続的
    に積立てられるのです。そのうえで、不足分を少し余裕がある時
    に積立てていく努力の2本立てとなればよいのですが。
 4.損得の問題
   生活保護は自身の財産がなく、頼れる親族がいない場合の支援
    であって、子供を扶養していない老齢者は多くて国民年金と同程
    度であり、ギリギリの生活しかできないのです。年金と同列に考え
    ない方がよいのです。
   損得問題も納めた分戻ることにこだわりが強いのです。
    そもそも、確定給付年金は“払った金を返す”ことではありません。
    所得が十分得られなくなった時(高齢)、社会的にそこを支えてい
    くシステムです。
   あえて云うと、早くお亡くなりになると“払い損”になるでしょう。長生
    き家庭は“もらい得”になると思います。また、身寄りのない単身者
    にも年金が出るのです。
*ところで、私事で恐縮ですが、諸般の事情で1ヵ月近くコラムを休ませ
 て頂きました。また、ここから申し訳ありませんが、1〜2ヵ月投稿出
 来ません。
 よいお年をお迎えください。