・企業は法人格を持ち、意思をもって行動します。そして、全ての企業は目的(定款)を定め、その達成に向けて経営活動をしています。この活動を通じて社会貢献していくのです。
・企業はその活動の内容及び結果を会計という手続きを以って、数字で表現します。それがどの期間の、どの時点での数値かの区切りがあってはじめて、その企業の諸状況が判明できるため、これを事業年度(1年間)と定めてこの1年間の経営活動の結果をその期の末に表記するのが決算というわけです。
・その中で、最も重要なのが、経営の結果としての利益(P/L)であり、財産状況(B/S)です。そして、これらの計算書類が正確、適正に処理されていなければ、意味がありません。そのために企業会計は法令等により多くのことが定められています。私共はそれに則った処理、表記をしています。
・当社は9月末が決算期に当たり、1年の最後の月として期を締めることになります。とりわけ当期の利益は事業業績を測定する唯一の指標ですから、通常の月次締切より一層の慎重で適正な対応が必要となります。
・皆さんは毎月の月次締切によって売掛、仕入、前受、未入金等の請求書発行・受領、入金確認を期日に合わせて管理することに大分慣れてこられたので、その延長と考えてよいと思います。何か特別なことを追加するわけではありませんが、主に次のことに留意していただければと思っています。
①売上(売掛)、仕入の失念、誤り――通常月であれば、翌月修正することにより年計として何ら問題ないが、例えば9月の売上計上洩れはそのまま当期の利益減となり、10月修正計上は来期の利益増になってしまいます。
②前受の未入金――9月に前受がマイナス残となりその対応の遅れで10月入金の場合、あるいは9月に前受、仕入計上予定が仕入だけが発生し、入金が遅れて10月になってしまった等は上記同様の損益のずれとなります。
・これらは「期間対応の原則」を逸脱するもので、決算月のそれは当期と翌期の双方に影響を与えてしまいます。また、売掛や未入金の長期滞留があれば、期末までに貸倒処理等を検討、整理しなければなりません。
・たしかに年間総額からみると些少な額であり、実際の影響はほとんどないと言ってもよいでしょう。しかし、これを放置することは安易なルール、手続を許し、ゆるみに歯止めが利かなくなります。監査法人等の調査においても適正な処理への疑念になりかねません。ちょっと気になる得意先は、早めのチェックをしておきましょう。
・経営は正確な情報があってこそ適切な手を打つことができます。情報の多くは実は「数字という形」で会社内にあるわけです。自分達の情報を把握し、分析、検討をしないと近代経営の情報戦の第一歩を踏み出せないことになります。
以 上