中堅層を育てる

 私事ですが、1月初旬テニスで転倒して右鎖骨骨折をしました。
  金具をそえボルトで留める手術、入院を要したため、ブログも中断して
  しまいました。
  益々、高齢を意識するようになり、情けなく思っています。
 さて、この手術を担当した医師が丁度脂の乗り切った中堅年齢層
  にあたる先生でした。ベテランの整形外科責任者は外来往診を多く
  担当し、エキスパートと云うべき中堅層を手術関連の中心に置いて、育
  てている感がしました。
 こういった中堅者が組織に居ることで若手医師を引っ張っていく
  基礎を作り、病院の信頼度を高めていくのだと思いました。
  事実、私が外来で診てもらっている時に、若手がレントゲン写真を持参
  し、相談している姿を数度見ました。
 以前、国家において中産階層拡大、拡充の方向こそ、消費を押上げ、大
  きな力となり国を支える集団として先進国の途を開くと記しました。(日本
  の高度成長期は“1億総中流”でしたね)
 その時は特にそれを裏付ける数値はありませんでしたが、先週日経の
  集記事に発展途上国の中産層の増大が顕著であり、その活力、
  消費力
がGDPを向上させているとの論旨
がありました。
  異論のないところです。
 仕事の面でも、近年団塊世代の大量退職により、一挙に中間層が抜け、
  若い世代への技能継承問題が取り上げられていました。
 会社組織を考えてみると、組織単位の大小はあれ、その命題は「しっか
  りと成果を上げ」「仕事を積み重ねて継続性、効率性を図り」そして、
  その中で「人材を育てる」
ことだと思っています。
 この目的は会社が成長、大きくなることであり、その底辺を支えて、変え
  
ていくためには中堅層がなくてはならないのです。

 組織を大きくするとなると、
 (1)成果を上げる
   会社が小さい時は、営業をはじめ属人単位での活動です。また、退職、
    採用が頻繁であれば、いろいろな経験、ノウハウが蓄積されず、成果は
    一定の段階で踊り場にぶつかります。
    これでは、会社が大きくなりません。
   組織で動く仕組みや方法が成果を大にする基本のような気がします。
    まさに、この構築は中堅層がそれを担うのです。実務面での施策、
    行動を引っ張り成果を積み上げる中心にあるのです。
   だからこそ、中堅、マネジメント層への成長がみえる仕事、職位、賃金
    等へのステップを適正に行わないと
、結局転職してしまうのです。
    属人的要素の強い中小の営業部門ならば、中堅の退職は売り上げが
    落ちてくることを覚悟しなくてはなりません。
   新人等採用で退職補充をするが、以前と同じ成果を上げるには期間が掛
    ります。この繰り返しでは、さっぱり組織は大きくなりません。
   中堅層のカタマリを大きくすると成果が集合して大きくなり、組織も大き
    くなっていくのです。
 (2)仕事の積重ね
   今はスピードをもって変革を進めていくことが第一と云われています。
    中堅層という言葉は保守的意味合いの感がして、その障害になるのでしょ
    うか。
   先端をいく部署、ベンチャーにおいては、その成否が会社に大きな影響を
    与えることは確かです。ただ、実際は、そのプロジェクト等にエキスパート
    である中堅者も参画しており、変化に挑戦する適材も決して少なくない
    のです。
   また、変化を組織に浸透させ、具体的に実行していくのも彼らなのです。
    ゆえに、組織を底支えする中堅層の必要性を、一方で強く感じます。
   仕事の積重ねが組織の歴史を作り、そこへの見直し、改善が展開されて
    組織が強くなるのでしょう。
   過去をみない、過去を捨て去って、将来を考え計画、実行していく大切さは
    十分分かります。
    しかし、現実の今があってこそ未来に繋がることが出来るステップも、
    多くあると思います。その今を支える中堅層は重要な財産です。
 (3)人材の育成
   中小は中堅となったエキスパートが成果を大にしていくと、1人では手に余
    る仕事量となり、新人等の採用で仕事の分割、効率性を高めながら、組
    織が大きくなっていきます。
   そして、新人をしっかりとオンザジョブの中で経験を積ませ中堅者への
    育成
が会社にとっても望ましいことになります。
   現実、中堅層は定年まで同じ仕事をするわけにもいきません。組織拡大は
    中堅層をマネジメント職位、専門職ライン等に上げていくためにも、必要性
    は高いのです。
   人材育成するヒマがない、丸投げされる、何をやればよいのなどについて、
    余裕のないこの頃、分かっていても取組みが後手後手になることが多い
    と思います。
   人材育成にすぐ効く方法はないのです。(だから、背中を見て覚えろになる
    のかもしれません)目的は何なのかに戻って考えるしかないのです。
   指示命令ばかりしていては、仕事が回りません。
    自分が育ってきたプロセスで不安な時はどんな時だったのか、何を教えて
    ほしかったのかなどを糸口にするやり方もあるでしょう。
   自分が楽になるなるには、何をいつまでに教えることでもよいのではないで
    しょうか。手順として責任をもって取り組むことが当り前になれば、中堅層

    が育ち、強い組織につながるのです。
 話はズレますが、橋下大阪市長の言動は必ず話題になり、注目を集めてい
  ますね。
  これまでのシキタリ、ルールを打ち破り、ガラガラポンをブチあげています。
  気概は分かりますが、何となくどうなんだろうというのが正直な気持ちです。
 ある人が“部屋を綺麗にして模様替えをする時、そこにあった金魚鉢を別場所に
  置き、部屋が新しくなったら置き場所を考えるでしょう。橋下氏はそれさえも

  ブチ壊せと云っているようです。”と分析していました。
  何となく共感できます。
 今までのやり方ではダメなことは、皆んなが分かっています。しかし、実態の分
  かっている中堅層を排除したようなやり方が成り立つのか不安です。