・ 認識や価値観が多様化している今日、また変化の激しい世の中での年代差
の違和感などから、相手を説得する、理解してもらうことが益々難しい時
代になったと云えます。
・ 誰もが、とりわけ上司は部下を自分の思っている通りの行動でもって、目標
を達成してもらいたい欲求をもっています。人を動かすことが役割であり、職
務とも云えるのです。
・ 日常発生している指示したり、依頼する仕事は、ある程度の見通しを考えな
がら実行していきます。
・ ゆえに、部下や相手にこうすればこうなるとの情報を示すことによって道筋、
やり方などを与えて、不安や逡巡を少なくしていきます。
・ そして、仕事のスタートばかりでなく、途中、終了時など適切な「言葉」を
掛け、ヤル気を上げていく大切さは皆さんも十分分かっていると思います。
・ とはいっても、上司と部下のコミュニケ、よくいう上司からの働きかけが信頼
を作っていくことを考えると、上司の「一言」にその器が表れてくるほど影響
力が大きいと云っている専門家の著書があります。
・ ただ、「一言」は両刃の剣の面があります。従って、それが全て適当とは云
えませんが、なんとなく良さそうだと思う一言をそこから少し引っ張り出して
まとめてみました。
(1)人を動かすことがリーダーの役割
・ リーダーは組織の目標を達成することと同時に、部下の育成が大きな役
割となります。なぜなら、部下を巻き込んで頑張ってもらわなければ、目標
達成は勿論、仕事の改善や新たな企画などに対応できないからです。
・ そして、この人と人との係り合いを調整、調和、活性化するため、コミュニケ
の必要性が強調されるのです。
・ ところが、部下の方が上司を常にみていると云ってよいでしょう。更に、上司
の良い面より、悪いところの細かな面までを厳しくみているものです。
・ そうなると、黙っていてはダメで、また“上手くやってくれ”だけではとてもヤ
ル気を引き出せない、育成にもつながらないのです。
(2)良い人間関係を作る「一言」
・ 「オウ」「ハイ」は肩慣らしのキャッチボールのようなものです。もともと
人は保守的、惰性の行動をしてしまうと云われています。
だから、打てば響くような、反応のよい一言を掛けあっていると、キッカケ
とまではいかなくとも、それなりに通じてくるものです。
・ 同様の潤滑油とみられるものに、「おはよう」や「おさきに」があります。
それが人間的な温かいコトバのヤリトリとなって返ってくるのです。
・ 部下への行為に対しての一言は、「ありがとう」「すまんね」でしょう。
さらに、「助かったよ」「なかなか上手く……なっているね」が加わると
よいようです。
・ 新入社員で負担を感じる言葉の調査に、「期待しているよ」が上位にありま
した。なるほど右も左も分からない時に、“それはないよ”、立場が全く分かっ
ていないと思いました。
・ 職場の人間関係が良くなれば、イキイキとした仕事、前向きな取り組みにつ
ながることは論を待ちません。
自分のクセのようになっているちょっとした一言は何だろうと、一度反省も込
めて考えてみてはいかがですか。
(3)部下を勇気づける、ヤル気を起こす「一言」
◆勇気づける言葉は難しい
・努力が相手に分かってもらえない時、「朝の来ない夜はない」「失敗のない
人間はいない」などを助言として記されていましたが、これは取り方によっ
て、どうも良し悪しがあるようです。
また、いかにもアドバイスの慣用句のようで、心に響きません。
・能力の高い人には、「自分を甘やかさないところが、長所だね」「上に行く人
間だから、突破すれば大きくなれる」などは「こんなことでクヨクヨするな」
よりはよいと思うが、意欲の強い人には一言よりも姿勢、態度がそうあればよ
いように感じます。基本は育成の視点。
◆ヤル気
・「分かった、もういい」は使い方に注意。まず、じっくり話を聞こうの態度を
表す言葉を引き出してぶつけてください。状況によりますが、「ウラづけを
話してくれないか」「もう少し具体的に話してくれないか」などです。
・ミスをした時の対応の一言も大事です。「弁解無用、いいわけするな」はつ
いつい使ってしまいます。しかし、詫びに来て、反省しながら報告をし、次の
策を支援してもらいたい立場を考えると、「一緒に考えてみよう」の姿勢、
云い方が分かりやすくホッとすると思います。
・話を聞いて同意、納得することをよく表す言葉に、「なるほど」があります。
そこから、「キミの考えの方が適切かも」「気がつかなかったよ」とヤル気を
持たせるのです。
・「そこまで言うならやってみろ」は、気持の伝わり方により明暗両方があるよ
うです。部下の思い込みに同意することはないのです。
・“ヤル気は仕掛けより一言”とはいわないまでも、機会をみつけての話し方、
接し方が重要と云えます。
(4)ほめて育てる「一言」
・ 「部下を叱って伸ばす一言」もありましたが、これは単純なものではなく、多
くの補足説明がないと勘違いするので、ここでは除きます。そこで、ほめて育
てる法にいきます。
・ やっぱり、ピンとくる「よくやった」のホメ言葉を用意することです。内容は
さておき、コトバに反応することはよくあることです。
「さすがだね」もよい云い方ですが、周りの人が自分はダメとイヤミに取るこ
とがあるので注意。
・ 第三者を通してホメることも、よくやる方法です。「得意先の〇〇さんがキミ
の企画をホメていたよ」などが上手くいくと云われています。
ましてや、尊敬している人がそう云っていたは、喜びが倍加します。
・ ホメているのかケナシているのかが、取り方によって不明な「一言」は多い
ものです。ラッキーで成功した時の「運も実力のうちだぞ」は“分かっている
わい”がそうです。
「まるで別人のようだ」「キミが云い出すのを待っていたよ」などもからか
われている気がすると受け止められやすいですね。
・ コミュニケのポイントを強調する「一言」によって読者を引き付けることは、
十分解ります。しかし、状況に合わせての「一言」だけで、そんなに上手くいく
とは思えません。
・ やはり、日常のキミをキチンとみている、キミがよくやっているとの態度等
を部下に感じさせてこそ、「一言」がピッタリくるように思います。
・ 大変よくないのは、レッテルをはるような「一言」でしょう。そのうえで、何を
云ってもアダになるだけです。
また、苦手な云い方、性に合わない云い方は、ホメているつもりでもバレるもの
です。
・ 「一言」なんか気にしない人もいるでしょう。ただ、マネジメントをしていく
上司の立場にあっては、「一言」に少し位気をつけるのも悪くはないと思い
ます。