新社会人

 古い話題になってしまいましたが、今年も恒例の入社式におけるトッ
  プの祝辞、訓示
がメディアに多く出ていました。
 世の中の流れは新入社員の内、3割が3年以内に転職する実態に
  あって、入社式が本当に必要なのかあるいは、そういう相手にどうい
  う話の内容がよいのかの疑問は感じます。
 しかし、“同期の桜”である新卒者にとって、入社式は大きな行事
  す。トップの話はスタートを切るビジネスマンに、先輩としてのメッセ
  ージだと受止める位が重くなくてよいのかもしれません。
 ところが、新人に対し強烈な期待や手厳しいチャレンジ願望の話が
  多いようです。アルバイトなどで働き方、働く環境を知っている新人は
  雲の上のことより、経験を踏まえた身近な話の方が窮屈でなく、実感
  がわくように思います。
 ブログに整理されたトップの方々の話がありました。その中で、なん
  となくこれ位は知っておいてよいだろう、当り前位の内容が丁度よいよ
  うな気がして、そんなところを拾ってみました。
  企業人として成長する上での“心構え”と云ってよいでしょう。
 ところで、某生保の新入社員対象アンケートによると、理想の上司
  は男性が“池上彰さん”、女性が“天海祐希さん”でした。
  知的なのに分かり易く教えてくれ、頼もしさと親近感が支持を得ている
  ようです。
(1)皆んなで汗をかく
  1人で完遂する仕事は日常の定型的仕事を除けば、そんなにある
   ものではありません。しかし、非定型の仕事を与えられた時が大事
   なのは経験から分かります。
  職場の一員として皆んなで知恵を絞り、全員でをかき、全員で
   達成感を味わうのが、どうやら日本企業の真ん中にある働き方の
   ようです。「共振の経営」とも云われています。
  その心意気があると、先輩方も熱心に指導、指示してくれるはずで
   す。最初から“やりがいのある仕事”を経験することはほとんどな
   いと思いますが、次第に機会に恵まれてくるでしょう。
  だから、これからいろんなことを経験できることを楽しみとして汗を
   かいて取り組んで下さい。周囲も直ちに会社に貢献すると思ってい
   るのではなく、“未来への投資”と考えています。
  一歩でも成長していると感じることが、大切です。新人で“企画を
   希望していたが、配置されなかった”などは、とんでもないことです。
(2)身近な目標
  成果=能力×ヤル気だと云う人がいます。両方とも後天的な努
   力
変化に対応していく行動の実践を通じて身に付いていくも
   のと思います。
  “習うより、慣れろ!”は仕事を覚える本質を突いたものです。知
   るだけでなく、ヤル気を伴う行動レベルになるまでの繰り返しがな
   くては成果に結びつきません。
  そうなっていくために薦められるのが、「近くにいる先輩」です。例
   えば、入社4〜5年目の人を目標にして、憧れではなくライバル、タ
   ーゲットにするのです。また、分からないことがあれば、素直に相
   談できる人になればよりよいでしょう。
 ・ 仕事に対しジッとしていては自分の成長になりません。雑用であっ
   てもなんでも取り組むと、そこからいろんな作業手順や効率性の
   ヒントがいっぱい見つかります。
  難しく云うと、能力の高い組織にするには、1人ひとりが自ら考え行
   動していく組織を目指し、お客様に高いレベルでの品質の商品等を
   提供するようになることです。
   ここでの生産性向上や品質改善を通じての習慣が、自分の能力の
   高まりになります。
  仕事と生活のバランスについては、ある経営者が“Work is Life、
   Life is Work”と云っています。このバランスは年代や家庭状況
   によって重みが変化するでしょうが、決して仕事と生活を分断して
   考えるべきではないと云っています。
(3)スペシャリスト
  大卒がゼネラリストの道への人材育成中心のフェーズは終わり、
   門性の高い人達がチームを作り、知恵を出してぶつかり合い、新し
   い商品やサービスをどう生み出していくかが、企業存続を左右するよ
   うになってきています。
  とはいえ、どんな小さな仕事でも与えられた仕事をチャンスだと思い、
   懸命に取組むことから始まります。その連続性が大事であり、粘り強
   い持久力が求められるのです。そうして、3年も経てば、それなりの
   専門性ができるものです。
  どんな分野でもよいから、その中で専門性を身に付け、高めていく
   のです。しかも、時代の流れが激しい今日、専門分野の幅はどんど
   ん拡がっています。
  ビジネスは何かを作り上げることであり、ある程度の経験を重ねると
   周りの状況も分かってきて、自分の専門性を生かしての参画と遂
   行ができるようになります。
  そこでの難しい場面に合った時、気概を持って進んでいくことが
   会人としての成長だと云えます。
  専門知識と併せて必要なことは、英語の修得です。これだけグロー
   バル化しているビジネス社会にあって、コミュニケーションをとる場
   は世界語たる英語です。これは若いうちが有利です。
 最後に、新人の入社は先輩、上司達にとっても大きな変化を感じさせ
  ます。もっと云えば、この積み重ねがあって「組織風土」も少しづつか
  もしれないが、変わっていくのです。