オネエキャラ

 新聞の土曜版のみならず、メディアは競っていろんなジャンル、人物
  などの「ランキング」を発表します。
・ 日本人は確かに、何でもランキングで表すことが大好きなようです。
  いろんなものを探してくるものだと、感心してしまいます。
  (AKBの総選挙や三大〇〇のようなものも同類かと思います。)
 過日、朝日新聞に「オネエキャラ総選挙」というランキングがありまし
  た。世の中どうなっているのかと思いつつ、時を得た取上げ方であり、
  ちょっと面白かったので改めて紹介してみたいと思います。
 それは、日本の芸能文化(マスメディアの)がもはや、オネエキャラの
  人々の存在なくして語れなくなったと云われているからです。
 そこには、クセ者ぞろいのタレントが多くなり、それなりの位置を占め
  ているようにも思います。
(1)好感度ランキング(芸能人)
  回答数800人強。 オネエキャラの芸能人28人を選択肢とし、好
   感が持てる人を6人選んでもらう方法で集計したものです。10位ま
   でみます。
  1位  美輪明宏  ・デビューが60年前であり、先駆者といえる人。
              別格扱いである。
   2位  はるな愛  ・単なるオジサンがニューハーフ界のミスコンで
              優勝するなど、頑張っている。
   3位  マツコ・デラックス
             ・あの巨体からの毒舌は的を射ている。周りの
              雰囲気などを分かっている発言。
   4位  ミッツ・マングローブ
             ・2丁目の代表格。知性派女装家とも云われて
              いる。
   5位  ピーター  ・1969年歌手デビューして日本レコード大賞新
              人賞を獲得。ニューハーフの先駆的人物。
     6位  ピーコ         7位  おすぎ
     8位  I KKO        9位  美川 憲一
     10位  假屋崎 省吾
(2)カテゴリー
  ブームは2000年代初めに始まり、その隆盛はいまだに衰える気配が
   ないと云っています。
  言葉使いや所作がオネエキャラだと、デリケートな面での追求も柔ら
   かくなりがちです。オネエ達への追求もつい、バラエティの1つのよう
   に扱われて、笑いで終わるような場面をよく見ます。
 ◆毒舌系
   決まり事などものともせず、歯に衣着せぬ直言が受けています。オネ
    エ言葉での毒舌がなんとも気持よく聞こえて、その部分がないと物足
    りなくなってしまいます。
 ◆乙女系
   純情カレンな乙女を感じさせるものを身に付けており、人によっては
    形の容姿まで手に入れています。
   専門の仕事を持つ人が多く、職業がらオネエ系でもあまり違和感を持
    たない人もいます。
 ◆代表例
   美輪明宏さんは上記二つの属性を兼ね備えた、威風堂々たる大御所
    といえます。
   回答した人の感想にも、“たたずまいに多くの苦しい人生経験を経た深
    みがある”、“筋が通っていて覚悟を以って生きているように感じる”、
    “日本の良心だ”などの賛辞が多く、オネエキャラ次元に入る人ではな
    いとの存在をうかがわせています。
   マツコ・デラックスさんは、“辛口の域を出たコメントと洗練されたふる
    まいに感心する”、“自分の意見を押し付けず聞き手に嫌悪感を与えな
    い”、“ヒステリックに怒ってみせているが冷静な観察眼博識を感じさせ
    る”など好印象を振りまいています。
(3)平安朝回帰
  ある古典エッセイストは平安朝回帰をみるようだと云っています。漢文
   主流の奈良時代からカナの普及が進んできた平安時代は、女文化が
   いろんなところに入ってきた時代です。
   (平安時代後ではあるが、宮中の衣食住に関連した言葉の中にも「おか
    ず」「しゃもじ」「おいしい」「おつむ」など、今でも使っている言葉があ
    ります。)
  平安末期になると、貴族の男達は白粉でお化粧をしたり、お歯黒まで始
   めたといいます。
  やたらに丁寧に「御」をつける宮中の言葉も男女差がなくなり、それが庶
   民の耳にはオネエっぽく聞こえたのではないかと想像できます。だから、
   オネエキャラがもてはやされている世は、「平安化」しているようだと云っ
   ています。
  彼女(彼?)らは地べたで足を踏みしめた経験のある人が多いと思います。
   しかし、TVではその生活感が微塵もなく、こんなところも平安貴族のイメ
   ージに重なるのでしょう。
  ただ、この分析は芸能界、メディアの中での話題であり、社会全体の回
   と云うには、少々当てはめが強い気がします。
 このようなランキングですから、理屈や納得を必要としていません。何かの
  参考にしたり、単なる話題で楽しむなど利用方法は自由かと思います。
 日常と違った気持へのスイッチが入ることでランキングを楽しむのが、生活
  のメリハリができてよいのかもしれませんね。
 いずれにしても、オネエキャラはTVの中で定位置を確したといってよいと
  思います。そして、ランキングの人の入れ替えがあっても、このキャラはなく
  ならない気がします。
 習熟した社会はいろんなことが次第に「中性化」すると云います。女性の進
  出が当り前になってくると表題の云い方も変わるのでしょうね。