- 森林浴とは、1982年林野庁が森林の持つ保険休養機能のひとつとして「森林環境の自然がおりなす風景や香り、音色の肌触りなど、森林生態系の生命や生命力などに対して、五感を通じて感じることによって、人々の心と身体の健康回復の維持・増進を図ること」と定義しました。
- えらく長い、かしこまった定義であったが、これを基とするプログラム的な方法でなくても、都市型の皆さんがその気持ちの良さは感じており広まった言葉でした。
- 今日、再び森林浴の言葉が多く聞かれるようになったが、良い方法や効果などもわからず、何度もハイキングなどで森林に触れることがなくなったと云えます。
- そこで、その効果、応用などの研究を含めまとめたエッセイがあったので、簡単に紹介します。
1.森林浴の効果
- 社会的ストレスが増してきたこと、そして超高齢化社会を迎えて人々の健康を維持、管理、増進していくかが大きな問題になっていることは確かです。
- 健康回復の場としての森林に対し大いに期待が高まり、研究も進んできました。
- 例えば、一定のプログラムに基ずく科学的探究として、
- 短時間の森林浴であっても血圧、脈拍、副交感神経の活動などの指標から、生理的なリラックス効果があった。
- 泊りがけの森林浴によってナチュナル・キラー細胞の活性が高まる成果報告があった。
- 森林浴の後には緊張感、不安感が低下して、気分の改善効果を示した研究もあった。
- いずれにしても、心理的効果はかなりの程度明らかにされています。
2.森林浴の応用
- 医者、研究者などが、森林浴を実践的に活用する試みが重ねられています。主に「森林療法」といわれるものです。精神科の患者、障害者、そして健常者を含め森林内でのカウセリングやレクレーション、加えて軽作業や休養も組み合わせての報告例があります。
- 一方、地域の医療費削減の手段として取り組んでいる自冶体があります。住民を対象にストレスのある人たちと一緒に森林を歩き、血圧改善などの健康づくりの報告もあるのです。
3.森林浴の体験
- 森林浴は季節、当日の天気、時間帯などやはり効果の期待のためにも考慮する必要があります。また、ヒル、アブ、ヘビなどの危険生物も多く生息しているので、適度に管理された安全性も求められます。
- 実は、あまり知られていないが、森林浴を楽しめる場所として、全国57カ所にそのセラピー基地と呼ばれる施設が整備されています。従って、本格的な体験が必要な人は、安心して楽しめる場所である基地の利用が適切です。
- 宿泊型森林浴としては、長野県信濃町の“癒しの森”を勧めていました。自然の中で自分をみつめなおす、適切な生活リズムを取り戻す、いやしの場所を見つけるなどを目標にしており、企業の健保組合と連携し活用されています。
4.おわりに
- 確かに、良い効果を求める本格的な体験は、安心して楽しめる場所である基地の利用が適切です。しかし、自然の森に興味があってもなかなか自由な時間が取れないなど本格的な基地利用に入り込めない人も多いのではないでしょうか。
- 実務的推進者は、イメージだけが先行することをきらう傾向にあることはわかります。ただ、土日など時間が空いていれば家族と一緒に近くの大きな公園に行って、森林と触れ合うことはできます。
- それがリラックス効果に少しでも繋がれば、何度も行く回数となっていくのではないかと思います。
- 森林浴のいやし効果が明らかになるにつれ、都市にも持ち込もうとする試みが萌芽しつつあるそうです。ビルの回廊での音、におい、建材などによる効果を計っているそうです。