・ NHKが「クール・ジャパン」をテーマにして、日本滞在外国人7〜8名
との座談会方式でいろんな日本の物品やサービス、仕組み、考え方などを
取り上げ、実践を踏まえて素晴らしさを紹介しています。
・ 大変面白く、よく観ていますが、案外“なるほど”で終わっています。クー
ルジャパンに対し官民がどのように取り組み、政策がどのようになってい
るのだろうという点が私に抜けていた気がします。
・ ところが、行政にはクールジャパン関連の政策があり、経団連もジャパン
ブランドの部会があるのです。
・ 経済産業省の担当者のコラムがありました。裾の広いムーブメントになり
つつあると感じておられていたので、整理されているところをちょっと拾
ってみました。日本食が世界文化遺産として実現したのもその1つかもし
れません。
1.クールジャパン戦略
・ コンテンツ、食、ファッションなど日本の魅力ある文化の国際展開を通
じて、次のことを目的とする政策を云います。
(1)外交面 ーー 外国の若年層の親日派、知日派を獲得していくことを目的
◆ 各国大使館を中心に対外文化宣伝を展開していたが、伝統文化芸術の紹
介に重点を置いていました。
◆ このような政府広報がけでなく、民間企業によるエンターテイメント・
コンテンツの海外流通を積極的、具体的に手伝っていきます。そのこと
により、大衆文化の伝播力も取り込みができます。
◆ すなわち、日本のソフトパワー外交強化の要請が強まっているというこ
とであり、軽視できない状況と云えます。
(2)経済面 ーー 日本ブランドの製品、サービスへの海外需要を喚起するこ
とを目的とし、その取り組み段階を3つに分けています。
◆ 第1段階 ー 日本の魅力の効果的発信による日本ブームの創出
・ 大型補助金創設〜日本コンテンツ(アニメ、音楽番組など)や消費財
(アパレル、飲料、家具など)に対し、プロモーション費用などの幅
広い助成を通じて一気に加速させていきます。
・ “そういえば、日本の情報をよく耳にするなぁ”と思う日が遠くない
ことを期待しているのです。
◆ 第2段階 ー 現地で稼ぐためのロジスティックス・商業拠点の構築
・ 「クールジャパン推進機構」(H26.3月時385億円出資)〜投
資ファンドが設立された。例えば、現地放送枠を確保して、情報発信
と物販展開を事業として可能になります。
・ 日本の衣食住のいろんなものを扱う店舗を展開するモール事業にまで
もっていきます。
・ そして、投資を通じて政府の海外ネットワークの活用、利害調整など
クールジャパンの内外の人材拠点となることを期待しているのです。
◆ 第3段階 ー 日本に呼び込み、日本で消費
・ 訪日観光促進施策〜既に観光政策としてクールジャパンを試みられて
いることが多くあります。従って、この戦略と連携していくことが求
められます。
・ メディア情報は、国境を超えてグローバル化しているところです。そ
うすると、「ヒト」が国境を超えて動く前に、身軽な日本の情報やモ
ノを海外展開、継続していくことが、より「日本のよさ」を効果的に
していくことになります。
2.課 題
(1)各省連携について
・ クールジャパンは、政策面で各省連携とか国を挙げてといった上で活
動しているかと云うと、必ずしもそうではないと云っています。
・ それぞれの省庁にあって、従来より農産品輸出、文化芸術海外展開、
観光立国、海外メディアへの露出度高めるなど既に個別に推進してい
るものも多くあるのです。
・ この中で、従来のヤキ直しではなく、国全体としてこの先をどうした
らよいのか、同じ方向に向いていくのだということを現場担当者に対
しての利害調整等も必要と云っています。すなわち、政策の旗振り、
リード役としての力をより必要としているのでしょう。
・ そして、役所の柔軟な対応が重要です。なぜなら、先行している企業
の応援や国の事前の働きかけがないとグローバルな世界にあって、遅
れた対応になりかねないと思います。
(2)リードタイム
・ 例えば、現地放送枠確保からコンテンツを発信して、連動した物販展開
という「ジャパンチャンネル事業」のような大型事業があります。
それは、どうしてもリスクの高さや収益化までのリードタイムの長さか
ら敬遠されがちです。
・ しかし、投資効率が劣ったとしても国内市場の縮小が明らかな中で、海
外でのビジネス環境を整備し、意欲ある企業、個人が海外で活躍するた
めの支援が必要です。その手段として、クールジャパンは良好に働くと
思います。
・ クールジャパンは国民の賛同を得ているものです。フィードバックや適
切な検証を以て長い目でみていくことも大切だと思います。