「任せる」ということ

 日常的に発生する「部下に仕事を任せる」ことは、その任せ方、フォロー、結果
  のチェック等案外いろいろ悩むことがあると思います。
  「よろしくたのむ」の丸投げ方式の人は、そこまで考えていないのでしょうが。
 「部下は、できるだけ報連相したくない」と“おっ”と思うコラムがあり、そこに
  「部下に任せる」がテーマとして取り上げられていたので、気になって整理して
  みました。
 メールでの報連相が普及し、「営業日報」の場合上司はそれに対しての応答や
  指示を日々実行しています。
  これで十分コミュニケは取れていると思われがちですが、落とし穴にも注意が必
  要です。
 それは、ヤル気満々の部下ならいざ知らず、部下はひんぱんに報連相をした
  くないのです。だからといって、口頭で簡単に済ますといっても、感情が入り

  易く面と向かっては面倒くさく、しんどいということから、メールが便利と云う

  より、逃げの手段になりかねません。
 そして、毎日のヤリ取りが次第にさし障りのない、日常実施報告中心となり、

  任せたつもりの対策の形骸化やなおざりな実行になる危険性があるのです。
 このような環境下で、部下に仕事を任せる注意点は何なのでしょう。
(1)プロローグ
  母「勉強しなさい!」→子「今やろうと思っていたのに、ヤル気がなくなった

   よ!」
  人は催促されるとヤル気を失うことがあり、仕事でも云えることなのだ。
 その通りであり、何か気持の心理を突いているようです。
    ただ、「報連相したくない」もこれだけで律するのではなく、諸々の要素

    が絡まってそうなるのであって、単純ではないのです。
   かといって、主張として1つのポイントに焦点を当てているので、間違い

    だとも云えないのです。
(2)「任せた仕事」が「やらされ仕事」に変わるとき
  重要な仕事、難易度の高い、期限を切った仕事ほど部下に任せているとはいえ
   いろんな点が気になって仕方がないのが上司の気持である。
  そして、途中報告させると案の定、不足、欠けているところがみえて、それ

   ぞれに強い指示命令となって、ハネ返ることになる。
  自主性、主体性が失われると「自分の仕事」から「やらされ仕事」になってし
   まう危険性が高くなる。
 日常的な実務は普通「主任」が全体を把握しており、課長が口出ししなくても

   役割バランスを取りながら毎月が過ぎていきます。特に、大きな問題がない

   限り課長が出っ張ることはあまりないのです。
   但し、重要案件を任せるとなると、部下の「報連相したくない」は考えられ

    ません。
    要は、程度問題なのでしょう。
   ・コミュニケの仕方1つで相当変わるものであり、上手くいかない点を怒鳴る

    だけでは、確かに「やらされ仕事」に変わってしまいます。
   このコラムでは定例的な打ち合わせを持つことを勧めていますが、それが当

    然のように受け止められる状況を作ることなのでしょう。
(3)ガマンしない対処法はあるか
  部下の主体性や育成のため、仕事の品質、納期等の完遂を犠牲にするわけには
   いかない。
   仕事だからと一方的に云うと、今後の任せる仕事のモチベーションが低くなっ

   て、云われたことしかやらなくなる。
  コミュニケを上手く取れればよいのだが、口出し、催促をガマンしない方法

   (仕組作り)としては、
   ①面談の定例化と報告事項のフォーマット化が有効である。
   なるほどと思います。急に言い出すのではなく、通常の業務スケジュール

     の中にそれらが組み込まれることで、抵抗なく報連相を要求、打ち合わせ

     ができるのです。
    とはいっても、次のことに注意することはよく云われています。
     ・自分のレベルで考えない、押し付けない。−−経験、能力等が違いま

      す。
     ・聴くことの慣習化ーーこちらの理屈だけでは反発を呼びます。
   ②コミュニケの取り方に留意して、難しいかもしれないが部下の自主性を

    保ち、ヤル気を奪わないようにすることである。
   上司からの直接的な仕掛けは、口頭でのコミュニケです。しかし、気を

     使った言葉選びのようなやり方は、こちらもシンドイことになります。
    口頭コミュニケが上手くいくかどうかは、日頃からのなにげない雑談

     モノをいうことがあります。
(4)「なにかあったら云ってこい。相談に乗るからな。」は禁句に近い
 ◆部下はギリギリまで相談しない。
   この言葉で相談にくる部下は、まずいないと云ってよい。ゴチャゴチャ

    云われる、チャッチャとやれよ、やり方を押しつけられるなどがあると

    思い、相談を我慢する。
   上司が気付いた時は手遅れになり、よけいに状況を複雑にしてしまう。
   そこで、週1回、1人ひとりと短くてよいから、面談をルール化して無理

    矢理でもコミュニケを取ることである。
 ◆定例面談には、注意を。
   進捗、達成等を記入していく自作フォーマットを考え、利用することで

    自分のシリを叩くようになるのではないか。
    その中から、報連相がくることもあり、その積み重ねが大切である。
   面談が定例的になってくると、口出しは少なくなるものである。口出しと

    ヤル気は反比例するものと思ったほうがよい。
   ところが、本人が「取り調べ面談」と感じるようになると、仕事の忙しさ

    にかこつけて避ける傾向になる。
 リスク管理が不徹底で有事にアタフタするのと同じ様な感がします。ただ、

   マニュアルだけを作って安心しているようでは、有事の活用にならないの

   です。
  進捗状況の追求などは、“本当に信用されているのだろうか”にならない

   注意が必要です。コミュニケの方法も併せて考えることが有効なのでしょ

   う。
* コミュニケのスタイルを変えていくことも述べているのですが、長くなるの

  でこの辺で終わります。