・ 今年は「男女雇用機会均等法」施行から25年目にあたり、関連コラムが
時折目につきます。 どのように取り上げられているかをみてみました。
(1)社会経済の活力のもと
・ 働き手となる労働人口の減少にあって、女性の労働人口はその内42%
を占めています。(1985年比17%増)
・ 就業率は60%台にあり、上昇一途を辿っている。政府目標は73%です。
周囲をみても、女性が活躍する姿は珍しくなくなりました。
・ まさに、“女性を活用しなくてどうする!”です。
パートに欠かせない位置を占め、サービス業では当然のごとく活躍している
ことは、皆さんも肌身で感じていると思います。
・ 先般、米国務長官ヒラリー・クリントンが、経済活性化に女性の潜在力重要
としたうえで、日本は男女の雇用格差が解消できれば、国内総生産(GDP)
が16%押上げられると指摘していました。
・ 企業は女性活用が、勝ち残るための1つであると認識していることは、間違い
ないような気がします。
消費のヒモは女性が握っているのですよ。
・ そこで、よく引き合いにだされる資生堂は、出産、育児での退職ゼロです。
化粧品、日用品の会社だから当り前と思いがちですが、女性の多い職場だか
らこそ逆に、退職を選択しないことは素晴らしいことだと思います。
・ バリバリ活躍する「モーレツ型」はTV等で取上げられることがあります。
それは、ニュース性の高い場合であって、一般女性の厚み、拡がりが基盤
になくては「普通」にならないのです。
・ そうなっていけば、いろいろな経験を持った者(男女)が健全な議論をして
いくようになり、活力や競争力を支えていくのだと思います。
・ ダイバーシティ(多様性)の1つは女性の職場定着と云われています。
(2)幹部社員への厳しい実態
・ 均等法施行後に社会人となった女性の中から、幹部に育ってきていることは確
かです。
・ 過日のTVでも、航空会社のサービス部門等トップ層の女性数人にインタ
ビューしていました。今後も女性に適していそうな部門での進出が増えるので
しょう。
・ 別の番組では徳島県が女性社長の割合がトップにあり、お互いの情報交換、勉
強会の場を行政が支援して効果を上げている映像がありました。
・ とはいえ、統計数値をみると、まだまだの感は拭えません。
表向き女性の幹部登用は活力維持に不可欠と云っているが、職場実態はそう
でもなさそうです。(ある化粧品メーカーの株主総会に出席して、女性役員が
社長1人だけに驚きました。)
・ 昨年調査によると、部課長職に占める女性割合は6.2%、10年前の倍近く
ではあるが、見劣りする数値です。主要500社の取締役、執行役員は42名、
その割合は何と1.4%です。
・ ノルウェーの役員44%は別格としても先進欧米諸国は10%超であり、EUは
40%目標です。
・ また、自己資本比率(ROE)は女性取締役のいる企業が、いない企業を
上回っている結果があります。ただ、これは平均であって業種等を個別にみ
ないと単純に信じ難いでしょう。グローバル企業として、殻を破れと云って
いるのでしょう。
(3)変わっていく方向
・ 多様な人材活用が課題となっている今、女性幹部登用を俎上に乗せ、システム
として直ぐにでも取組んで早くはないと思います。
・ しかし、まだまだ女性が挑戦する環境は貧弱であり、企業風土の独特さも障害
になっています。
・ 少ない幹部層をつなぐネットワークの必要性は感じるが、何といっても昇進を
ためらわない環境作りが大事です。
◆幹部養成の仕組み作り
◆子育て、介護に対する職場の理解
◆保育所増設等の社会的バックアップ
◆労働時間、休職制度の見直し
‥‥‥
などをみても、多くのハードルがあり、そう簡単にはいかない実態があり
ます。
この一部を両親に頼っていることが多いとも聞きます。
・ 女性幹部について日本企業はどう変わるべきかを提言している実務家は、
「トップが腹をくくること」と云っています。
・ トップが信念を持って推進しなければ言行一致になりません。時折の昇進は会
社の中に埋もれて見えにくくなるからです。
・ 企業内においての調査によると、「女性登用の壁」は、
◆ロールモデルの不在
◆文化規範
◆経験を積める責任ある仕事の機会が限られる
◆男性中心の文化
などであり、育児休業等の制度面では大きな問題はないとのことです。
・ いずれにしても障害だらけですが、このことを十分認識して1つでも崩してい
く運用に自分の職場から心掛けると、壁は脆くなっていくのです。ここも、職
場の長が腹をくくることにかかってきます。
・ 女性登用は稼げる対策のはずです。しかし、どうも日本のトップ層は商品の開
発には即ゴーサインを出すが、目に見えない、時間がかかるコンセプト、
グランドデザイン作りはなおざりになってしまうようです。
・ それがあっていろいろな課題を解くための具体策、方向性を見出し、ソッポを
向かないようにするのです。
・ 潮流に遅れないために無理な登用を進めるより、女性の職場進出、職域拡大
など底辺を固めての環境作りが大切と考えます。
もらえるものはもらいたいが子供手当の本音でしょう。それ以上に保育園
(含学童保育)の充実は喫急の課題なのに、なかなか進みませんね。
・ ただ、格差をなくすのは、親の愛情が必要な子供を育てるのは大変であり、
母親までを労働者として駆り出すことを主張しているわけではないことを
最後に云っておきます。