分かる日本語を!

 宋文洲氏のコラムに「自他に分かる日本語」がありました。いつも日本の良
  さを強く主張されまた、ここが変ですねと素直な意見も云われています。
 今回は、相当浸透してきた「TPP」がPPT、TTPなど間違いやすい綴りに

  なっていて、どうもしっくりしません。一般化しているとは言い難いと云ってい

  ます。
 なぜ「太平洋協定」(正式には「環太平洋戦略的経済連携協定」)のような分か

  りやすい日本語を使わないのかとの疑問を呈していました。
 メディアは文字や時間の制約もあるのでしょうから、あまり長い難しい日本語よ

  りTPPの方が余程分かりやすいということなのでしょう。
 TPPはメディアでの露出が多く、インターネット検索しやすい環境にあって十

  分通用すると種々検討したうえでの判断だと思います。
 ただ、正式名称でなくても宋氏の云う「太平洋協定」の方が中味と本質を捉え、
  直感的に分かると思いますが、使われていません。(NASAはそのまま通用し
  ていますよね。)
 また、最近はやりというか、情報過多が呼び寄せたと思う横文字があります。
  コンピテンシー、ダイバーシティ、コンプライアンスなどについても、それを

  使っている社員にその意味の説明を問うと、あやふやなことが多いと云ってい
  ます。
 そういう私も多くのカタカナ文字、横文字を日常使っていることに驚きます。
 これら英頭文字、カタカナ文字の氾濫について、とりとめのない感想を書いて
  みました。
 (1)カタカナ文字、横文字
   グローバル化が当り前のように受け入れられており、あらゆる分野で横
    文字、カタカナ文字が氾濫しています。さすがに、自分の興味ある部分は慣
    れてきています。
   M大学の教室で大学生に対し、欧米の考え方、思想とビジネス行動について
    の講座をそのままTV放映していました。
    先生と生徒の間で、英語の熟語、単語がバンバン行き交うのをみて、これが
    現実なのかなと思いました。
   ただ、日本文化、日本語の大切さを知ったうえでないと、外国人とのコミュ
    ニケなどにおいてグローバルな主張、会話が進展しないとも従前より云われ
    ていることを忘れてはなりません。
   高度成長期に企業はブランド戦略の一環として、会社名の英字ロゴ、カタ
    カナ文字がはやりました。しかし、今ではすっかり廃れて、前の日本語に戻
    っています。副次的な表示としてあるだけです。
    (ARESCOで「関西ペイント」の事業がピンときますか?)
   日本語に横文字をそのままカナ文字に置き換えられる便利さがある以上、
    これからも益々増えていくのでしょう。
 (2)変換は進まない
   外来語を使うことは意味がそれ程分からなくても、いかにも時代を先取り

    ているような気になります。
   ex: ビジネスモデル=商売の仕組みですが、ちょっとしたやり方の改善で

       あっても全体が新鮮な、改革を感じさせるように聞こえます。
   アフターサービス、キャリア、マニュアルなどは、この方が分かりやすく、

    一般していると云えます。
   ex: アウトレット=“メーカーが在庫処分等のための格安の小売業態”に

       合う適当な日本語が見当たりません。
   また、情報通信システム関連では、フレーズの長い言葉を短くしてパソ

    コン、スマホ、SNSなどで大方の人は分かるようになってきています。
    あえて日本語にするまでもなく、それに慣れていく、敷衍させていく方向に

    なっています。
   経済経営用語においては、カナのまま使うことが多くなっています。
   ex: コンプライアンス、インターネット、ダイバーシティなどは無理矢理

       日本語に置換えると、その言葉の持っているニュアンスが伝わり難い

       のです。
      サスティナビリティ=企業の継続性で最近使われていますが、経済的

      発展はもとより環境、社会的側面も併せ貢献できる可能性というニュ

      アンスを含んでいます。
   グローバル化の中で、避けて通れない途なのかもしれませんね。ただ、

    日本語の適切な意味や使い方も分からないで、自分の主張とならないと

    カナ文字に逃げている場合もあるように感じます。
 (3)I T用語、説明書 
   我々高齢者はどうしても「IT関連の専門用語」あるいはそれに近い言葉に
    慣れることが難しいと云えます。
   パソコン1人1台以上になっている仕事現場で交わされる会話はおおむね、

    IT用語が当然のように噴出しています。1つでも分からない用語があると

    全体の内容と何を云っているのかが捉えられないのです。
   そこで、不明なカナ文字をIT用語辞典で引いてみると、その説明の中に

    また分らないカナ文字が多くあって結局、諦めてしまうことになるのです。
    若い人に訊ねても、同じことが起こります。
   要は、仕事としてまた日常生活の中でひんぱんに目にする、口に出さない
    限り、IT関連用語は覚えられない、理解できないことになってしまうの

    です。
   ex: インターネットでの「テキスト」は例えばウエブ検索結果にあるキー

       ワードと数行の文章、文字列のことですが、残念なことに書物、教材

       の域から離れられなくて、最近やっと理解できるようになりました。
   また、いろんな商品の「説明書」についてもあまりにもカナ文字が多く、

    これと似たようなことが起こります。
   65歳以上人口が20%超の現在、同一年齢でも用語の理解度に大きな幅
    があり、一律には取り扱えません。しかし、携帯の「らくらくフォン」が

    それなりにヒットを続けていることは、なんといっても“わかりやすさ”

    ではないでしょうか。
   日本語に置換えると少々ギクシャクすることがあるかもしれませんが、

    文章の意図するところが伝わる改善が図られてもよいように思うのですが。
    横文字、カナ文字が適当かもしれないが、“伝える”こととは違うように

    思います。