上から目線

 堀場製作所トップのブログに、アジア企業に対する「上から目線」
  のテーマがありました。
 アジアの企業の強さが日本企業の脅威になっていることへの特集な
  ど
が雑誌、メディアで組まれ、その売上拡大等数値から、“なるほど”
  と思うことがよくあります。
  コラム筆者もビジネスの場で実感すると云っています。
 ただ、マネジメントとしてみると、アジア企業はオーナー経営や国策
  的経営のところも見逃せないので、あまり参考にならないとのイメー
  ジも少なくありません。
 しかし、実力あるトップのスピード感あふれる経営判断や投資の思
  い切りのよさは、間違いなく「強さ」の源泉と云い切っています。
 すなわち、トップマネジメントの質の高さ、人物としての素晴らしさ
  は、残念ながら一般的な日本企業のトップ層との差があるように思
  われます。
 まさに、それは「活力」を肌で感じるからではないでしょうか。
 筆者の体験からの感想をまとめると、次のようです。勿論、ここで
  はトップ層の話になりますが、ミドルのリーダーにもあてはまる面
  が十分あると思います。
 1. 現場をよく知っている
   高い地位に拘らず、現場をよく知っており、日本企業との交流の
    でも技術的な質問をする姿をよくみると云ってます。
   日本のトップ層は確かに、現場には足を度々向けます。中味は、
    現場にあまり迷惑を掛けないよう周囲の話を聞くだけに終わっ
    ているような気がします。
 2. 偉ぶらない
   日本企業から吸収しようとする意欲が強く、その姿勢は謙虚であ
    ると云っています。それは何といっても驚異的な復興を遂げて
    済大国になった日本に、何故強くなったのかを追求するのは当
    然といえます。
   併せて、相対的に弱くなった面を含めて、自分達の経営判断やビ
    ジネスに生かす努力が強いからです。
 3. サプライアーへの信頼
   信頼のおけるサプライアーに対して、今後の開発の狙いなど社
    外秘なことでも明らかにし、伝えてくれます。このような姿勢には
    サプライアーとしてそれに応えなければとの気持が高まり、より良
    い関係が築かれます。
   日本企業はどうしても下請け的協力関係が抜け切らず、合理化
    =コスト削減を求め、シワ寄せがサプライアーにきています。
 以上の点は、いわゆる「上から目線」への反省を促す事項だと云え
  ます。とりわけ、買い手の立場にあるとこのフレーズがピッタリ合うよ
  うです。
 外に向けて「お客様の立場にたって」などとよく云うが、アジア企業
  と対等の取引にあっても態度に出てくるようです。
 ビジネスパートナーから信頼を得られるように、真摯な態度で海外
  企業と付き合っていく必要を一層強く感じるとしめくくっていました。
 日本の企業間での感覚がそのまま態度に出てきているのでしょう。
  がそうなら、間違いなくもそれにならいます。例えば、協力会社
  といっても仕事をもらう方ですから、下手からの態度は動かし難いと
  云えます。
 その中では、自分では気付かなくてもなんとなく「上から目線」にな
  っていることがあるものです。
  仕事としては、そのほうがなのです。
 実際の交渉場面等で、どうしても同じ目線であると勘違いしている
  ことに気付くのは、難しいといえば難しいのです。
 “あの人は厳しいが、公平だ!”とのレッテルを作っていく普段のキ
  チンとしたやり方を示していた私の先輩がいました。仲間との仕事の
  上でも、そうあるべきだと思っていました。(しかし、思い出すと、“上
  から”が多く冷や汗タラタラ)
 アジア諸国での現地生産や輸出等へのグローバル化に関連して、
  他のブログの中で「日本企業の自前主義」というのがありました。
 アジアの発展している国は、日本のマネばかりして人件費の安さ
  対抗してくると批判している人がいます。そして、後になってみれば
  シェアを奪われていくばかりの結果になっているのです。
 日本だって欧米のマネが上手で、それに独自の工夫を重ねてきたの
  です。それを「自前」で守っていくのにグローバル化が、ストップ
  かけたのです。
 端的な例が、人材活用です。プロパーと中途、正社員と契約社員、
  再入社への反発など自前主義が前提にあるようです。今更ながら、
  ここの意識を薄れさせていく制度と運用が大切と云っています。
 いずれにしても、人のレベルが上がれば、必ず企業のレベルも上昇
  するのであり、グローバル化において自前主義が適切でないのは明
  らかです。
  ああだこうだとマネジメントの方法論を云っても、結局人の活用に落
  ち着くような気がします。
 そして、人の活用に当っては、日本企業間の「上から目線」感覚
  留意した言動が取れるようにならないと、対アジア企業でのあやまち
  はなくならないのでしょう。