シニアが支える家計

 シニアとその子供との家計のつながり方が多様化しているとのコラ
  ム
がありました。
  高齢化まっしぐらと雇用不安、雇用形態の変化がそれをもたらしている
  ことは、間違いのないところですが、家族問題の専門家がその辺をしっ
  かり捉えていました。
 そして、まさに自分に置き換えてみると身につまされるところがあって、
  これらの傾向やパターンを“そうなんだ!”と読み過ごすだけで片付け
  られない思いがしました。
(1)親子2世帯同居
 1. パターンの変化
   かっては親夫婦と既婚の子供夫婦が典型的な2世帯同居のパタ
    ーンでした。
   今は、未婚の中年の子供と高齢の親との同居が急増しています。
    (未婚の他に、離婚率上昇が子供の実家に戻る同居例を多くして
     いるようです。)
   子供が2人いたら1人は結婚して家を出ており、1人は未婚(又は
    離別)で家にいる家族構成が最も多いパターンになるかもしれない
    と云っています。
   我々の昔の仲間の集まりでも、家族の話に及ぶとこのパターンが
    多いのにビックリします。(仲間内で結婚相談所開設するかとの冗
    談が出る位です。)
 2. 親子同居増の要因
   日本は世帯を維持するためのコストが高いと云われています。
    住む家があると同居は食事代、光熱費等も割安となり、親子双方
    が少ない収入でもどうにか暮らしていけるのです。(家が“かすが
    い”になっています)
   雇用状況30歳代男性を見ると既婚の正規採用率9割、しかし
    親と同居の未婚は6割に止まっています。
   パラサイトと云われた時代は、自分の小遣い確保のために親との
    同居があったが、今は親に依存しないと生活が出来ない単身者が
    増えているのです。
 3. シニアにすがる家計モデルの先行き
   シニアにすがっている現役世代は、親が亡くなったら生活崩壊
    の危機にさらされます。同居の子供が他の兄弟との財産分けにな
    ると、生活根拠たる家も失うことになりかねないのです。
   コラムは20年後はそうなりかねないと忠告していました。そうなる
    と、生活保護も視野に入ってくるので、若年層の雇用対策はこの
    ような面からも本気で力を入れるべきであると云っています。
   稼げない子世代をシニアが支える連結家計モデルの持続は、長
    続きしないと云われています。
   40歳代男性の4人に1人、女性の5人に1人は、非婚なのです。
    親と同居する30歳代男性の2割、女性の4割が失業中との試
    算もあるのです。
   そして、子の支援のためシニアの預貯金は、既に減少傾向との
    指摘もあるのです。スネは着実に細っています。
(2)2世帯住宅の変化
 1. 2世帯住宅は時代を反映
   当初は子供の独立志向を受け、お互いの生活ゾーンを分離した間
    取りが主流でした。
   その後、育児、家事、介護等の問題から、不便さを取り除くような居
    間の共用などの融合型が拡がりました。
   ある住宅メーカーが2011年施工した住宅のうち、2世帯住宅の割
    合は21.3%に達しており、需要が高まっています。
   かっての親の面倒をみる動機に加えて、将来の暮らし向きへの不
    から経済的負担を出来るだけ軽くしたい点が背景にあるのです。
   今の先端モデルは東京の住宅展示場にみられる賃貸も組み込ん
    だ4階建以上のを投入しており、相続税対策の関心が高まってい
    ます。
 2. 2人3脚の住宅購入
   現役世代の所得の低迷は子育て世帯への影響大きく、親からの
    支援を受けて住宅購入に踏み切る例は多いのです。
   共働きが当たり前になってきて、孫を介在しての2世帯住宅需要
    は益々増えていくのでしょう。親の支援なくしては成立しないのです。
   調査によると、親から経済的支援を受けている既婚世帯は2割強
    あるのです。住宅購入資金の贈与税の非課税制度利用は2011
    年7万3千人に達しています。
   我々シニア層は都会に出て就職したため親の面倒をみることは難
    しかったが、自分達の子供はそのまま都会で就職、結婚のパター
    ンなので、2世帯住宅への環境、メリットが揃ってきたと云えます。
 以上が全てではないと思いますが、多様化傾向を示しており、“そう
  だな”と納得する部分もあるのではないでしょうか。
 いずれにしても、世帯の2大出費となる1つの教育費はなかなか削れ
  ませんが、住宅費は財布を出し合うことで余裕が生まれます。高齢化
  からの不安に対し、2世帯住宅は益々増えるでしょう。