怒ることの良さ?

 1人で仕事をすることに限りがあることを思うと、「怒りで人は動か
  ない」は当然のこととして受け止められているのではないでしょうか。
 ただ、「怒り」に対しどうすればよいのかは、結局仕事の場で経験
  して、怒りのコントロールの仕方を学んでいくしかないようです。
 「怒らないマネジメント」を7月にそのヒントとなるコラムを紹介しま
  した。怒るマネジメントはないにしても、今度は「怒りを通じて視野
  を広げよう」とのコラムがありました。
 怒ることも否定し難い面があるので、取上げてみました。
  これは、自分の感情と向き合う点で、“怒らないマネジメント”と同
  様の結論を求めています。
(1)自分に正直に
  まず、「怒り」の必要性を云っています。怒りの感情が生じること
   は、部下等の言動に何らかの関心、思いがなければ出てこない
   と考えるからです。
  関心の薄いものに怒りの反応はないのです。外交でよく云われる
   “右手で拳を振り上げて、左手で握手する”に似ていませんか。
  職場で怒らない方法や自分の感情のコントロールの仕方などを教
   示する本、雑誌は多くありますが、総じて情報をしっかり分析し、
   相手の出方を見ながらの対応を求めています。
   難しすぎますよね。
  二度と失敗等がないようにするため、自分に正直に怒っているの
   です。
   怒ることは自分だけの主張になりがちであることを価値観、経験
   則から強く指摘していました。
  そこでは、云い訳を認めないような怒り方になることがよくあり、少
   し云い分も聞いてあげればよいのにと周囲も心配します。しかし、
   怒りの最中に他から云うと、火に油を注ぎかねなくて怒りが通り過
   ぎるのを待つことになります。
  ただ、どんな問題でも怒りを感じたら、押さえようとしてもつい声が
   先に出るものです。その感情は、“正直に出た”ことであると捉え
   て良いと思います。(エネルギーは要りますが)
  そうでないと、怒る人が悪いのみで、ちょっと可哀そうな気がします。
   怒りによって日常の仕事にそう支障は出ないかもしれませんが、周
   りの反発が強くなってプラスアルファーの仕事がよい方向にならな
   いことに留意を。
(2)自問自答
  反省があると一歩前に進む、いろんなことが見えてくると云われて
   います。
   怒った事情を相手が受入れて、次にどうにかなればよいのです。と
   ころが、怒った後には、そうならないことが多いと思います。
  ましてや、反省と云われてもとは思いますが、案外怒った後に“あ
   れ、云い過ぎたかな”“あいつ、しょぼんとしていないかな”と周りに
   聞いたりすることがありませんか。こうなれば、シメタものです。
  これこそ、“怒ることで、怒る技術が身についてくるのだ!”と思う
   ことです。自分の思い通りに物事が運ぶなんて、メッタにないん
   ですよ。
  「怒り」を身につけるための法度(いけない怒り)を知っておくこ
   とも必要です。
   ①気分で怒る‥‥‥‥‥不機嫌な時に怒り、機嫌が直ると一転他人を
              持ち上げるようでは周囲が迷惑します。
   ②身勝手な怒り‥‥‥‥自分の思い通りにならないと怒る人。自分中
              心に仕事が回っているわけではないのに。
   ③相手を責め立てる‥‥詰問口調になって、弱いものいじめな
              やり方になっていないか。
(3)一方通行をしない
  怒ることは悪いことと思っている人は、少なくないのです。怒られ
   る側にとっても都合のよいことではなく、周りもそう思っています。
  怒りは自分が引き起こす感情だからです。部下の失敗に対し、ど
   う感じどう対処するかは自分が決めることなのです。イライラして
   怒ったのは自分自身なのです。
  但し、それを抑え込む習慣を作る必要はないと思います。確かに、
   怒りを抑えると人間的深みが出てくるといったメリットはあると思い
   ますが、結局バランスが肝要なのは何となく分かります。
  そこで、コミュニケーションが表に出てきます。コミュニケは「双
   方向性の原理」があります。だから、感情を出すことは大事であ
   り、当り前のことなのです。
   メンバーの様子を見て、怒った後の次の声を出すことが大切です。
  “ハラハラさせるなよ”の一言で相手に関心を持ち、見てやってい
   ことを知らせると、メンバーからも“何とか間に合いそうです”の
   反応があるのです。
  “カッ”となったら一呼吸おくだけで、状況を良くするためにはの考
   えが表れてくるかもしれないと云っています。
 怒りは「曲者」だが、怒ったことのない人、職場は考えられません。
  怒らないことにこしたことはないが、それが出来なくていろいろ悩む
  ことになります。
 そして、怒りの経験を通して、怒り方に磨きがかかります。すなわち、
  使い分けができるのです。
 仕事が厳しくなってきている中で、“あいつがダメなら、こいつ”という
  わけにはいかなくなり、1人ひとりに関心をもっていく姿勢、対応が
  大切です。
 だから、どうやら“怒りのむき出し”“怒りっぱなし”“怒声が飛び交う”
  の昔からの怒りではない付き合い方も変化してしかるべきかなと思
  っています。
  そのポイントの1つが“一呼吸おいて”の話が出来るかどうかだと云
  っています。
 そして、自分なりにコミュニケーションに努力を惜しまないことが、
  基本なのかなと感じています。