組織をダメにする「仕事人間」

 ライフネット生命の出口社長は本出版を含めメディアに注目されて
  いるオピニオンリーダーの1人です。
  若い副社長との組み合わせも、多様性のある会社として広く認知さ
  れています。
 出口社長が表題を座談方式にしたブログがありました。ブログのよさ
  は1つのテーマが要約されており、読みやすく時間的にも楽です。
 そうはいっても、やっぱり普通人間はここまでの言動が難しいなと思
  いました。しかし、示された方向性は間違いのないところであり、部分
  的ですが感想も入れて引っ張ってみました。
(1)人生における仕事の割合
  せいぜい仕事の割合は、3割です。家族や友人達との語らいと個
   人の楽しみの方が、はるかに大きな割合を占めているはずです。
  “仕事に集中しないと本当によい仕事はできない”ではなく、仕事が
   人生の全てといった認識の方が“甘い”と云っています。
  なぜなら、仕事オンリーだと自分の個人的な趣味嗜好、価値観ひい
   ては好き嫌いなど仕事と関係のない部分の思考が大きく持ち込
   まれてしまうからです。悪い意味での“公私混同”が始まるのです。
   だからといって、3割仕事はカン違いしやすいと思います。
     30〜40歳代はやっぱり、仕事に打ち込むことで経験を豊か
     にし、実績がついてきます。
   ・ ゆえに、平均的な3割ではないということです。3割は、“目覚め”
     のために強く云っているのだと解釈しました。出勤日は家族と
     触れ合う時間がほとんどないのが実態でしょう。
    逆に、退職後はまさに自分の時間をどう過ごすかが大事になり
     ます。趣味にしても、そこからが本格的に打込むことになるの
     かもしれません。
    とはいえ、若い時からその芽を育てていかないと、退職後急に
     何かを始めても上手くいかないことが多いと思います。
    長い会社人生にあって、論理的に、冷静な処理をする仕事ばか
     りとはいかないでしょう。人間関係が入り込むことがあるのが、
     現実です。3割は1つの発想です。
(2)組織の同質化
  業績の悪くなった会社のトップの様子を出口氏なりに捉えると、プ
   ロとしての判断ができていなくて、趣味等の要素が入ってきているケ
   ースが見られます。
  経営で重視すべき数字や事実そして論理性ではなく、世間体や
   自分の好み、恨みつらみといったことが優先、反映しているのでは
   ないでしょうか。それでは上手くいくはずがありません。
  このような人は往々にして「仕事人間」であり、自らもそう云ってい
   る人なのです。
  そうすると、自分とあうんの呼吸で仕事をする人を重宝してしまい、
   それ以外の人を排するようになります。
  結果、組織が「同質化」します。ダイバーシティ=多様性が失われ
   ます。同質化の中は居心地の良い場所になり、外部からの知的な
   刺激等がどんどん失われていきます。組織が丸ごとダメになるの
   です。
   自分の経験からも「仕事人間」の人がいましたが、決してマネを
     しようとか付いていきたいとは思わない人が多かったようです。
    しかし、組織人間としては何とか仕事をこなし、経験を積んでい
     くためにも周囲との人間関係はよくしたいと思うのが自然です。
    あうんの呼吸とまではいかなくても、自分を育ててくれているな、
     関心を持っていてくれているなに向けての接触は必要でしょう。
    外部からの刺激の必要性は、強く感じます。これがないと井の
     中の蛙に近い状況になり、自分達だけの価値観で行動してし
     まい、他人の事情、心情が分からなくなります。
(3)「仕事人間」はプロではない
  趣味の要素の強い経営者が同質なメンバーとのカラオケを想像して
   みると、よく分かります。
  その経営者が好きな歌手、どの歌が得意かをメンバー全員が知って
   います。その場の空気を壊さず、経営者が気持よくなるかに腐心
   るようになります。
  こんな組織が創造的になれるはずがありません。時代の変化に取り
   残されるのです。若者や外国人がいたら、さっぱり分からないAKB
   48や最近の洋楽が持ち込まれ、そこでも多様性が生まれます。
   経験と知識が増えるのです。
  3割仕事は、割り切って集中的に取組み、効率的に働くことに徹する
   ようになります。そして、仕事には必要な判断材料を以って数値等の
   共通ルールのもとに合理的な判断をしていきます。
  だからこそ、趣味や好みは残りの7割で存分に発揮すればよいので
   す。これこそプロと云えます。
  考えが異なる場合は、議論が激しくなることは度々あります。しかし、
   決して禍根を残さないことが大事です。そのためにも、好き嫌いや
   趣味を排除しての判断が求められるのです。
   多様性は頭で分かっていても、実際の言動がまだ付いていって
     いない感がします。これはトップがが率先して範を示すことが
     大切なのは云うまでもありません。
    カラオケで上司、先輩にある程度気を使うのは当り前であり、何
     も否定するすることではありません。しかし、ズルズルベッタリ
     はどうかと思いますし、それは大分なくなってきているようです。
    上司はそれはそれで割り切って、仕事では能力に見合っての割
     り振りや成果を求めていきます。また、全てが一方的な仕事人
     間行動ではなく、その場の状況から調整しながら働いています。
     内向きにならない姿勢は必要ですが。
    昔、ディベート研修に参加したことがあるが、日本人はその経験
     がほとんどないこともあって、どうしても身びいきになって相手
     を非難するパターンが多かったと記憶しています。
    仕事は合理的にと云っても、今までケンケンガクガクしていて、
     その後握手するのは難しいですね。
    我々はついつい“仲良しクラブ”を作ろうと動きます。こうなると
     自分達から改革は進めません。新しいことを排除します。
    これがチームにとって一番恐いことです。できれば、外からの
     刺激を受けてチームの力の強さを成果で実感することです。
     そして、それを共有し自律に向けて何をしなければ、考えなけ
     ればならないかがリーダーの役割と云うことです。
    近年、本当にリーダーの資質が強く求められ、責任が重くなっ
     てきましたね。