ネット調査

 “ネット調査の「ワナ」に注意”のコラムがありました。
  例えば、旅行で慣れない土地の場合、どのホテル、旅館に泊まるか、
  食事や買い物の場所探しにもまずはネットでという行動は、すっかり
  定着した感があります。
 そのため、お店や企業において、ネット情報から消費者の動向
  探ろうとするのは、当然と云えます。
 スマホなどの普及は、一層その傾向を強めています。従って、企業
  はその膨大な顧客情報を集めやすくなり、「ビッグデータ時代」とも
  呼ばれています。
 ビッグデータの活用は今年に入って目立つようになったと云っていま
  す。統計分析、統計学が時代を反映させているものとして取上げら
  れ、連動しているのも分かるような気がします。
 ネット調査を年齢別、男女別などによるいろいろな利用率を計算し
  た結果をグラフ化しての発表などは、意図するところが分かり易く、
  視覚に訴えての納得性が高いといえます。
 こういった調査について利用する場合、「落とし穴」があることも十
  分知っておく必要があり、踏み込んでの整理の仕方の有無の検討
  が必要と云っています。
 感覚的には、“そうだろうな”と思いつつ、調査の捉え方の1つとして
  興味深く感じたので、取上げてみました。
 筆者は代表例として「人口統計とネット調査」を引っ張ってきてい
  ます。インターネット利用率成人人口構成比に応じて区分して
  みたものがあります。
 (1)カバー率
  ◆20歳以上60歳未満
    ネット利用率人口の93%に達しており、非常に高いカバー
     になっています。
    このことは、慎重に実施されたネット上でのアンケート調査は、
     この世代の人達の消費生活等を知る上で大いに役立つという
     ことです。
  ◆60歳以上
    この年代の人口に対するインターネット利用率は、49%しかな
     いのです(60歳台でも約6割です)。しかも、この調査は過去
     1年間に1回以上インターネットを利用した人を利用者としてカ
     ウントしています。
    ということは、アンケート調査をした場合、これに協力しそうな高
     齢者はもっと低い比率が推測されます。
    このような調査から直接的ビジネスの参考にすることは、疑
     問と云っています。
 (2)高齢者の消費行動
  ◆高齢者の消費項目
    高齢者の消費行動は、それなりの調査が必要です。例えば、
     ック旅行の支出の最大の年齢層は60歳台であり、続くのが70
     歳台なのです。
    これは、常識的に想定できますが、何を目的に調査するのかある
     いは、性別年代別などに区分しての調査が求められるのです。
  ◆データのかたより
    ネット調査マーケティング戦略に使うことが多いと思いますが、
     このカバー率からみても無視される層が出てくるということです。
    少ないサンプルでもTV番組視聴率調査は、やり方によって意味
     あるものになっています。しかし、かたよりが出そうなデータには
     十分注意することです。
    いずれにすても、60歳以上の人達はインターネット利用者の方が
     少数派でありかつ、利用者の属性(家族構成、職歴、年収など)
     の影響力が働く割合が強いと云えます。
    ネット上でのアンケート調査を目にすることは多いと思いますが、
     その資料を読み解く必要が出た場合は、これらのことを意識しな
     ければならないのです。
 行政の広報に、街頭スピーカーを通じた防犯等のお知らせがあります。
  “子供たちが、学校から帰る時間になりました。皆さんの見守りをお願
  いします。”などです。
 東北大震災時、“計画停電について詳しくは東電のホームページをご
  覧ください。”とのスピーカー広報がありました。
 高齢者世帯のインターネット保有率や利用度合いを考えた場合、自分
  がどの地区にいて、どうなるのかなどの具体的なことについてとてもじ
  ゃないが分からないのです。
 たまたま用事で市役所にいたので、このことを伝えたところ、キチンと見
  直されました。
 以上の経験からも、高齢者への対応を常に念頭に置いての対処の必
  要性を強く感じたのです。しかし、高齢者用などを強く出してのアピール
  は評判がよくないそうです。難しいですね。