冷やし系食品

 “社会を写し出すコトバ”というコラム「冷やし食品」が取り上げら
  れていました。
  勿論、その理由やウラ付けとなる資料、統計数値などをキチンと整え
  て我々に理解を促し、納得させる内容でした。
 ただし、本当に「冷やし食品」が家庭にまで新たな“ハヤリ”として一
  般化しつつあるのかは、感覚的であるが“?”が残りました。
  おまえはシーラカンスだからその辺が分からないんだろうと云われる
  と、反論の仕様がないのですが。
 いずれにしても、フレーズ1つに対し、見事なまとめ方をしているので、
  ?の感想を含めて眺めてみました。
(1)冷やし食品の当たり年(2012)
 ・ 加工食品・外食業界は、消費者に常時多様な新製品等の提案を
   しています。
   “冷やし”は2、3年前から始まっており、例えばカップヌードル、
   お茶漬け、ダンゴ、スナック菓子に至るまで、冷やして食する新製
   品があります。
 ・ 家庭用レシピのクックパッドでも、“冷やしごはん”“冷やしラーメ
   ン”の投稿レシピが3桁に乗せ、どうやら一般化しているようです。
  ただ、“冷やしごはん”と云っても、調理したものを冷たいごはんに
   ぶっかけOKの食べ方の提案が大半ですが、すそ野は広がって
   いると云えます。
  そして、今年は「冷やし食品・料理」名称がメディアの映像、記事
   に増えてきています。業界も新商品を「冷やし〇〇」名称で積極
   的な発売になっています。
 〜  昔から「そうめん」は夏が本番であり、「冷やし中華」もキチンと
      定番を確保しています。当然、ざるそば・うどん」はあえて冷や
      しとは云いません。
      そこからのバラエティ化は少しはあっても、暖かくしたものを
      わざわざ冷やすことによって“おいしい”とまでになっていな
      いように思います。
    例えば、ごはんを冷やしてそこにおかずをぶっかける試みは分
      かりますが、あえて「冷やし〇〇」とつけるほどの新しさはな
     い
ようですが。
      “ないことはないな!”のレベルのような気がします。
    とはいえ、いろいろな食物ジャンルでの「冷やし〇〇」商品、メ
      ニューが、夏に向けての定番として開発され続くと思う。
      しかし、店棚の中枢の一角を占めるのではなく、その横の定
      のような気がします。
    外食メニューでも例えば、カレーフェア(夏定番)に中に冷やし
      はあるが、真ん中を占めるほどにはならないということです。
(2)はやりの背景
 1. 「意外性」「需要喚起」「食欲増進」「簡易性」
   論点として4つ挙げています。
    に意外性があるだろうか。夏場に向かない商品の需要増とな
    るだろうか。暑くても食欲をそそるだろうか。調理はより簡単だろ
    うか。
   これを背景に、消費者ニーズを探り、はやりの傾向を見極めます。
    今はどちらかといえば、「食欲増進」「簡易性」がメディアで取上
    げられているようです。
   「冷やし」は従来の商品化、メニュー化追求の中に出てきたもの
    であり、固有の商品との形ではなく、“冷やして食べる”いろんな
    夏向き商品を思い浮かべるキャッチフレーズ、トレンドとして使
    われているのです。
 2. 冷やし系
   メディア「いやし系」と同時期に、ダジャレ的に「冷やし系」の
    キャッチフレーズを作ったのです。
   それが「冷やし食品・メニュー」の総称のように扱われ、言葉とし
    て一般化していないがこの方がピッタリくるということでのキーワ
    ードとなりました。
    だから、急に注目されてわけではなく、きっかけがここだったわ
    けです。
   実際のところの背景は、“最近の夏は暑い!”ことに尽きるの
    かもしれません。
    2010年から猛暑が続いており、冷たい文字がニーズとして強く
    出てきたのです。
   加えて、節電、省エネ家庭においても継続的な取り組みにな
    っており、いかにもそれが引き金になったのでしょう。
  〜 “冷やし系”例年以上に特別なフェアなどを組んで盛り上
      げている気はしません。云われるほど流行っているとは思い
      ませんが、毎年の夏フェアの1つとして冷やし系が商品・メ
      ニューを変えて続くのでしょう。
    なぜなら、企業の商品開発部門は毎年頭をひねって工夫し
      た新商品を求められており、夏場には今や“冷やし系”のバ
      リエーションを外すとは考えられないのです。
    また、競争の激しい分野の日本企業は、競争相手に1つの
      商品、ジャンルを独占されて黙ってはいないのです。示し合
      わせたように類似品発売となります。
    そして、2010年に火がついた“冷やし系”は、2012年競演
      が本格化したのです。
      節電、省エネは時代の要請であり、これをからめての販促
      活動になっていくのでしょう。
    しかし、冷やし系の中軸となる個別メニュー品目が普及しな
      いと、家庭への一般化までにいかない気がします。
    重ねて云いますが、何か新たなおいしさ、調理法を追求し
      ているわけでもなく、例えば冷パスタに合いそうな調理したも
      のをぶっかけているだけで、レシピが増えただけのようです。
    だから、温かいものをあえて冷やしてのメリットが強くなけれ
      ば、本通りを歩くことは難しいと思ってしまいます。