サラリーマンのこづかい調査

 新生銀行「サラリーマンのお小遣い調査」なるものがあり、30年
    以上に亘ってサラリーマンの“小遣い”や“使い道”を聴取しています。
 2012年調査は小遣い月額39,756円であり、1981年並みとなっ
  てバブル期の約半分です。
 流通産業の専門家が、その内味を解説しているコラムがありました。
  大変厳しいフトコロ事情が伺われると共に、何とか今の小遣い額でヤ
  リクリしている姿が分かりました。
 まず、調査の気になる主な内容を示すと、
  a.小遣い額     月額39,756円     1981年と同水準
  b.昼食代           510円     1979と同水準
  c.昼食時間         19.6分     1983の約2/3
  d.外食回数         2.4回     1999の半減
  e.飲み代          2,860円     調査開始以来最低
  f.理想の小遣い     67,200円     格差27,444円
(1)飲み代
  コラムは飲み代とその回数が調査開始以来最低であることが、大変
   興味深いと云っています。
  そして、そのポイントは「サラリーマン社会の大きな変化」にあると
   みているのです。
  これに関しては、上司が部下を連れて飲みに行くケースが減ってお
   り、部下も働き方が上司の時代と違って、今更上司の昔話を飲屋で
   拝聴する必要がないことなのかもしれないとしています。
  別の見方をすると、社内コミュニケを深めるための交際費が使えなく
   なって、タクシーチケット等も夢の中の夢になっている現実がそうさ
   せているのだと思います。
  そのうえ、仕事が厳しくなってアフターファイブの時間的余裕がなくな
   っていることも加わるのでしょう。
  ある居酒屋チェーンは、客単価平均2,800円代が相場であり、滞在
   時間1時間ちょっとが平均だそうです。(何時間もいると、この金額では
   済まない)
  小遣いから出せる飲み代が確実に減少しているのは分かりますが、決
   定的なのはバブルがはじけ会社が売上が伸びない対策としてコスト
   削
を強力に実施しているためと思います。
  そうなると、給与への不安が重なり上司もあえて自腹と云うわけにはい
   かないため、ワリカンとなると行く回数、金額が少なくなるのは当然の
   帰結です。
(2)昼食代
  昼食にかける時間が縮まり、金額が約30年前の水準のワンコイン
   興味のあるところです。
  弁当販売のワゴン車を多く見かけるようになったが、何といってもコン
   ビニの力が強烈だと思います。サラリーマン街のコンビニに昼食時並
   んだことがありますか。
  コンビニのおにぎり・弁当が売り上げに占める割合は大きく、リニュー
   アルや新製品投入が頻繁なことはTV等で見かけます。
  このマーケティング戦略に乗せられている面もあるでしょうが、弁当と飲
   み物でワンコインは魅力的です。弁当持参も17%(09年の2倍)ある
   のです。
  時折、社員食堂が会社の魅力の1つとして話題になりますが、会社の
   補助を含めての安さの利点が復活を支えているのでしょう。こんなとこ
   ろにも社会環境変化の波が押し寄せてきているのかもしれません。
  このように、4万円を切る小遣いでもやっていけそうな変化の事実を読
   み取ることができます。
   まさに、デフレ的世相がここでも分かるのです。
(3)280円商売
  この世相の中、「280円」の商品、サービスが増えてきていることへの
   コラムがありましたので、関連して追記します。
  280円の牛丼、居酒屋メニュー、ラーメン、うどん、弁当等300円を切
   る
価格のものが溢れていると云ってもよいくらいです。
  特に論理性はなく、こじつけのようですが、総務省家計調査2人以上世
   帯対象の1日当りの1人分食費は約290円だそうです。
  「足立区の給食室」なる本が売れています。栄養バランスを取りながら、
   300円を切るメニューを家庭用にアレンジしたものです。
  ある時、牛丼大手300円切るメニューを投入したところ、爆発的に
   売上が伸びたそうです。240円に値下げしてもあまり変化はなく、300
   円が心理的な抵抗線だったのです。
  主婦のスーパーでの買い物も知らず知らずのうちに食品の物単価は、
   200円代に収束していると云われています。ムダをしていない安心感の
   ある買物価格帯なのでしょうか。
  単身世帯が3割を超えており、お1人様消費がこれを後押ししているよう
   に感じます。お買い得は十分活用するが、その人達のニーズの多様性
   や利便性から1ケ300円程度の価格が目安の1つになってきていると思
   います。
  「スモール、シングル、シニア」が商品開発、サービスのポイントと云わ
   れており、更に300円を切ることが成長の条件になるとの見方が強く
   なっているのです。